暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
百三 毋望之禍
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が了承するはずがありません。木ノ葉も然り。思い余ったススキは…、」

木ノ葉隠れが厳重に保管している巻物を奪取する目的で里に潜入し、捕らえられたと言外に含ませ、足穂はそれきり口を閉ざした。足穂の話に思い当る節でもあるのか、人知れず思案するナルトの傍らで、白がおずおずと訊ねる。

「ではそのススキという方は…今も木ノ葉に捕らえられていると…?」
「いえ、既に他界しました…。木ノ葉から自害との知らせを受けましたが、私にはそれが真実なのか判断出来ない…っ!」


忍びにとって秘蔵の巻物の窃盗は非常に重い罪である。それがたとえ他国の人間が犯した罪であっても、許される事は無い。
しかしながら同盟国同士故、鬼の国は木ノ葉隠れの里にススキを引き渡してほしいと懇請し、木ノ葉隠れもそれを了承した。その間、ススキは木ノ葉厳重警戒施設に収容されたが、数日後には引き渡す手筈になっていたのだ。

だが結果は、ススキの自殺という衝撃的な報告を受けた鬼の国。
確かに窃盗目的で里に潜入したススキの罪は重いが、それが死という形で返ってくるなど、鬼の国は思いもよらなかった。特に木ノ葉隠れは他の忍びの里に比べたら温厚な里だと耳にしていただけ、衝撃も大きい。第一、本当にススキが自殺したのか、それとも他殺なのかは鬼の国からしたら判別出来ないのである。遺書でもあれば話は別だが。

「従って、我々は木ノ葉隠れの里に容易に依頼出来なくなりました」
「…それで、何処の国にも所属していない組織に依頼したと?」


火の国にほど近い鬼の国は小さな国家にも拘らず、大国の侵略を受けずに依然として残っている。それはひとえに、鬼の国にいる巫女の存在と、そしてその巫女に封印されし妖魔が大いに関係していた。
つまり、もし妖魔【魍魎】が実際復活し、それを滅ぼしたとなると、鬼の国は瞬く間に周囲の大国に侵略されてしまうだろう。
要するに、妖魔の存在は鬼の国が侵略を受けずこのまま存続する為の保険そのものなのである。

表向き火の国と同盟を結んでいる鬼の国だが、現在ススキの件により木ノ葉隠れに依頼する事に聊か抵抗がある。だが他の忍び隠れの里に依頼するも、その後ろ盾には国がある。仮に復活した妖魔の封印及び殲滅が出来たと知られれば、各国は挙って鬼の国の侵略に乗り出すかもしれない。
その危機を回避する為に鬼の国はわざわざ何処の国にも所属していない『暁』を指名してきたのだ。


(その前に世界が滅んでしまったら無意味だろうに…)
内心呆れながらもそんな事は億尾にも出さず、「なにとぞ紫苑様をお守りください」と頭を下げる足穂にナルトは承諾の意を示したのだった。















「紫苑様を封印の祠まで無事お届けするのだ!命を捨てる覚悟のある者のみ加
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ