2部分:第二章
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第二章
「あの、いつもそうですが」
「私のやっていることはですか」
「極端です。新入隊員が少し悪さをしたからといって」
それだけでだ。どうしているかというとだ。
「冷凍ビームや五メートルもあげてのジャーマンスープレックスはないでしょう」
「ですから殺してはいません」
「あの、ですからやり過ぎなのです」
司令の言うことはこのことだ。
「幾ら何でも」
「いえ、そうでなくてはです」
「駄目だと言われるのですか?」
「はい。我々は軍務に就いています」
自衛隊だがそうなるのは事実だ。
「それではです」
「何時何が起こるかわからない」
「命のやり取りをしているのです」
このことを言って引かないハルトマンだった。
姿勢は直立不動だ。まさに軍人、サイボーグだ。
その姿勢で司令の前に立ちだ。話すのである。
「あの、ですから」
「だからですか」
「そうです。今日本は戦争をしていませんし」
「ここは自衛隊だと仰るのですね」
「それでそこまで極端なことはいけません」
司令は日本の常識から話す。
「くれぐれも御願いします」
「軍規軍律に違反はしていませんので」
「だからですか」
「外出の際も」
その際もだ。どうかというと。
「ちゃんと許可を得ています」
「だからいいというのだな」
「規則は破っていません」
ドイツ軍人らしい言葉だった。元にしろ。
「間違いはありますか」
「いや、間違いと言われても」
どうかとだ。司令は言う。
「そういう問題ではなくだ」
「では問題ないのではないでしょうか」
「暴漢を倒すのもいい」
「それが悪いとは聞いたことがありません」
「やり過ぎだ」
それがだ。最大の問題だと返す司令だった。
「それはさっきから言っているだろうに」
「やり過ぎ。何もかも徹底的にです」
「しなければならないのだな」
「敵に容赦してはならない」
またしてもだ。ドイツ軍人らしい言葉だった。
「そうではないのですか」
「さもなければ余力を残した敵に後でだな」
「そうです。かつて私がいたドイツ軍は」
話しは第二次世界大戦の頃の話になった。もう七十年は前の話だ。
「イギリス軍をダンケルクで取り逃がし」
「その彼等がやがて」
「反撃に転じてきました」
このダンケルクで撤退するイギリス軍を見逃した理由は謎とされている。諸説あるが確かに言えるものはない。それだけヒトラーの判断は謎とされている。
その話を出してだ。ハルトマンはさらに言う。
「だからこそです」
「不埒者は容赦せずにか」
「幸い私にはです」
司令にとって都合の悪いことに。さらにだった。
「ダブルオーの権限と警察の逮捕権もありますので」
「ダブルオーもか」
「必要とあらばです」
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