01 怨
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い光景が広がっている。
そんなことを佐藤優夜は思った。
今のご時世、男性に対してあのような態度を取ること自体が異常なのだ。
すると、一番前の席に座っている男子が立ち上がった。
クラス中の視線が一気に集まった。正直言ってこれから自分も同じことをするかと思うと胃が痛くなってくると優夜は思った。
周りを見渡す限り女子、女子、女子。正確に言うならば、30人中28人が女子だ。なぜ男子が2人しかいないのか。理由は、ここがIS学園だということだけで十分だろう。
「えー……えっと、織斑一夏です」
織斑一夏。ISの世界大会である第1回モンド・グロッソで優勝をはたした、織斑千冬の弟だ。顔ははっきり言って良い部類に入っているだろう。
視線が織斑の背中に突き刺さっている。彼は盛大に嫌な汗をかいているに違いない。
そんな中織斑が吐き出した言葉は非常にシンプルなものだった。
「以上です」
数人の女子がコケる音が聞こえた。
偉大な姉を持つだけあって弟の方も神経が太いなぁ。
本当は何も出てこず、絞り出した発言であったが優夜はそれを良い方に解釈した。
パァン! 織斑が自己紹介を終わらせた瞬間にとんでもない破裂音がした。
織斑はその痛さに頭を押さえ、後ろには一人の女性がが出席簿を持ちそこに立っていた。
黒のスーツにタイトスカート。スラリとした長身、よく鍛えられているがけして過肉厚ではないボディライン。組んだ腕。狼を思わせる鋭い吊り目。
織斑一夏の姉、織斑千冬がそこに立っていた。
「げぇ、関羽?!」
何を思ってそれを口にしたのかわからないがここでは間違いだったようだ。
パァン!!
「誰が三国志の英雄か馬鹿者」
どうやら、ここの担任は暴力教師らしい。いくらISを扱うからと言ってこれはどうなのか。
そんなことを思っていた優夜だったが、織斑千冬から視線をずらし、副担任に目を向けた瞬間、思わず声を洩らした。
「えっ……」
副担任が織斑千冬に向かって熱っぽい視線を送っていた。
先程までの光景を前にしてなぜそんなことをしているのか。
優夜はある結論にたどり着いた。
―――レズでM?
そんな考えを吹き飛ばすように周りから一斉に女子特有の甲高い声が響いた。
「キャーーー! 千冬様! 本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から」
世界大会優勝者ということもあってさすがの人気だ。先ほどの女子のように織斑千冬を目当てにここに入学してくる者も多いのだろう。
織斑千冬はというとまたかと言った表情をしていた。おそらくこれは毎年あるようだ。
そんな女子の騒ぎも織斑千冬が喋り始めたことによ
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