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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
45.吾闘争す、故に吾在り
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と思ったが、流石にその言葉は呑み込み、代わりに溜息が一つ。
 昨日あんな風にメリージアと和んでおいて今日のこれ……この男、つくづくどうしようもない男である。俺が言うんだから間違いない。



 = =



「その槍はパラディン・リザードの……!と、討伐したのか!?」

 近所の安全階層までやってきた俺達――というか俺の抱えていた槍を見るなり、周囲がザワついた。オーネストも知らなかったみたいだが、戦利品に頂いた特殊効果持ちの魔槍はこの辺では有名らしい事を悟る。

「マジかよ……!!この前『アシュラ・ファミリア』の精鋭を17人殺した特級危険種だぞ!?レベル6だって一人殺られたのに!!」
「倒せればランクアップ確定なのに、殺せる冒険者がいないってんで頭抱えてたのによぉ……」
「ゴメンね、横取りしちゃった」
「あ……いえいえいえ!!あんまりに犠牲者が多いんで困ってたんでさぁ旦那!ソイツが死んだってんなら文句言う謂れはねぇさ、なぁお前ら!!」

 俺が気分を害したとでも勘違いしたのか、周囲が一斉にコクコクと頷く。18層より更に下、50層の安全階層では俺とオーネストの立場は地上以上に強い。というのも、実はオーネストが数年前には単独で初めて50層まで降りた際に事件が起きたらしい。
 その謎の事件を圧倒的暴力とささやかな知略で解決したオーネストは、ここでは畏敬の念を込めた態度を取られている。我が親友よ、一体何をやらかした。ある意味この人達もゴースト・ファミリアに含まれるんじゃないかってくらい腰が低いぞ。友達だって理由で俺までビビられているし。

「ここ1か月で死者53人を出した『迷宮の孤王』の天下も意外と短かったな……」
「ったりめぇよ。『狂闘士』と『告死天使』に目ぇつけられて生き延びられる魔物がいるものかってんだ」
「黒竜は?」
「時間の問題だろ。前までは『狂闘士』が単独で挑んでたから殺しきれなかったが、あの二人なら絶対に殺れるね!」

 オーネストのファンらしい連中の無責任な会話が聞こえる。三大怪物だか何だかに数えられる黒竜は俺も一度だけお目にかかったことがあるが、その頃はまだ俺は今ほど実力が無かったために普通にビビってぼろ雑巾なオーネスト連れて逃げていた。思えばあれから1年半ほど経過し、俺も随分戦いに慣れてきた。今なら確かに倒せるかもしれない。
 何の気なしに頼もしくも二重の意味で危ない相方を見やる。こいつと並んであの竜と戦うと思うと、ざわりと柄にもない闘争心が湧き出た。

(………訂正、俺とオーネストの二人なら絶対やれる)

 根拠はない。ただ、確信はあった。
 俺達は破滅的なコンビだ。未来永劫、俺達を越えるコンビなどこの世には現れない。
 ありていに言うと、ちょっぴり調子に乗ってたんだろう。後にな
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