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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
45.吾闘争す、故に吾在り
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に、オーネストの目の前にいる『迷宮の孤王』と思われるトカゲのような獣人がバラバラに引き裂かれていく。わずか数秒の間に十数回にわたって繰り出された斬撃は達磨落としのように魔物の身体をバラバラに吹き飛ばしていた。
 噴き出る血飛沫のせいで壁や床は赤絵具をぶちまけたように目に痛い赤で染まり、最後には本当に達磨のようになった魔物の残骸だけが残され――魔石を剣で貫かれて絶命した。突き刺したまま横に薙がれたオーネストの剣から風圧で全ての血液が吹き飛び、美しい刀身を取り戻す。
 ヘファイストス製の最高級武具の美しい輝きと、それを握るオーネストの血腥い斑があまりにも対照的だった。

「エッグ………ここまでやる必要あったの……?」
「ああ、久しぶりに骨のある奴だった。……こいつ、どこで覚えたのか、剣術や槍術を知ってやがる。『衝撃受流(パリィ)』まで……習得していたぞ。っ……ロキ・ファミリア辺りなら2,3人は殺られてたな」
「それってめちゃめちゃヤバい奴……って、おいコラ」
「何だ?」

 怪訝そうな顔をこちらに向けるオーネストの姿を見た俺は、「何だじゃねえよ」と目頭を押さえて唸った。オーネストの腹を、2M近くある金属製の突撃槍が思いっきり貫通しているのである。誰がどう見ても大腸や小腸をブチ抜いて背中から飛び出ており、普通に考えて即死ダメージである。
 それをこの男は口元からびちゃびちゃと鮮血を零しながら何を普通に突っ立っているんだ。無痛症か?無痛症キャラか?無痛症キャラだって流石にこの状況は焦ると思うのに生身の素でコレとかこの男は不死身の化け物か何かか?

「ウェル……アーユーターミネーター?」
「この槍、どうやら対冒険者を想定した……けふっ、特殊効果が込められているな。見ろ、神聖文字が刻まれている。……ぅ、ステイタス防御を貫通する仕組みらしい」
「無視して腹に刺さった槍を解説するな!ああもうっ、ちょっと動くなよこのばかたれ!!」

 これ以上放っておいて喋りながら死なれても困るので、俺は懐からいつもの濃縮ハイポーションを取り出してオーネストにぶっかけながらゆっくり槍を抜く作業に取り掛かった。ワインを注ぐようにドプドプと流れ出る血液が足元を濡らす。
 抜き終わった頃にはポーション驚異の回復力でオーネストの腹筋が復活していたが、俺のコートやブーツはあいつが盛大に零した血溜まりでぐしょぐしょに濡れていた。

「うげぇ、血腥い……ブーツの中にお前の血が入って超気持ち悪い……」
「だったら放っておけばいいだろうが。どうせポーションなんぞ飲まなくても死ねなくなった体だ」
「槍が貫通した腹のまま横にいられる方が俺にとっては気分悪いんですがねー」

 何が楽しくてそんなゾンビみたいな親友を隣に置いておかにゃならんのだ。
 もういっそ死んでおけ
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