妖精たちの罰ゲーム
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木に寄りかかりさっきまでいた教会について話しているカナたち。ラクサスはその木の上で、一人空を見上げている。
「お父さんを探してギルドまで来たのはいいんだけど、あの頃は宿に泊まる金もなくてね。この前あの子らにアンタたちの話をしたら、みんな会いたいって聞かなくてさ」
「私にですか?」
「ちょっと嬉しいです」
意外そうにキョトンとしているウェンディと顔を少し赤くさせてハニカムシリル。
「同世代のスターなんだ。アンタたちはあいつらは希望だよ」
それを聞いて視線を交わらせた水竜と天竜は、ニッと口角を上げる。カナは嬉しそうにしている二人を見た後、星が輝き始めた空へと視線を移す。
「私がアンタくらいの時は、ナツもグレイもエルザもミラも、みんな同世代だったんだ。お父さんに会えないのは寂しかったけど、のんびりとした平和な時代だった。
アンタたちはさ、その歳でずいぶんとハードなこといろいろ経験してるだろ?本当はまだ子供だってのにね」
「いえ・・・そんなことは・・・」
「あの・・・私は・・・」
言葉をうまく伝えられない二人を見て、カナは二人をギュッと抱き締める。
「わかってるよ。ギルドは家族だもんな、寂しいってわけじゃない。
だけど同世代の話し相手は必要だ。あの子たちにも、アンタたちにもね」
「カナさん・・・」
「優しい罰ゲームですね」
自分たちのことを思ってのことなんだと感じたシリルとウェンディは、カナの優しさに頬を緩ませる。
「これからもたまにはあの子たちに会ってくれるかい?」
「はい!!」
「もちろんですよ!!」
「それと、いい忘れてたけど、私が、アンタたちくらいの時は・・・もうちょっと胸あったよ」
「きゃん!!」
「だから俺男ですって!!」
不意に胸を揉まれて恥ずかしそうにしているウェンディと例の如く突っ込みを入れるシリル。そして、話し終わった少女たちは、その場でスヤスヤと眠りについた。
「ったく、こんなところで寝るなよ」
三人が眠ったのを見ていたラクサスが木から降りてきて、彼女たちの前に立つ。幸せそうな笑顔で眠っている彼女たちを見て、ラクサスは思わず笑みを浮かべる。
「風邪ひいちまうだろうが」
そういうと男は、上着を脱いで真ん中のカナに寄り添うように眠っているシリルとウェンディにも被さるようにそれをかける。
「さて・・・帰るか」
彼女たちを起こさないように、音を立てずにその場から離れていく青年。彼は一度立ち止まり振り返り、幸せそうな表情の三人を見て笑みを浮かべた後、ゆっくりと帰路へとついたのであった。
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