第二話 私の「カテゴリー」
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」
鳳翔の「ええ。」は複雑だった。日向の質問の前半を肯定したものではない。後半部分を肯定したものだった。
「では、空母寮に配属されるべきではないか?」
「ちょっと!いきなり何を言うわけ!?」
すかさず声を上げたのが第五航空戦隊に所属する瑞鶴だった。
「41センチ砲をもった正規空母なんて聞いたことがないわよ。ねぇ、翔鶴姉。」
「え、ええ・・・確かに私も初めて聞きますけれど・・・・。」
翔鶴が当惑した表情で口ごもった。
「そうでしょう?そんな巨砲を持った人なら、当然戦艦寮じゃないの?」
「烈風や流星、さらに新型機までも飛ばせるほどの長大な飛行甲板をもった航空戦艦は実在しない。」
日向が冷ややかに言った。
「そうよね〜。前世の私たちだってせいぜい後部砲塔を取り払ってそこに飛行甲板とカタパルトをのっけた程度だもの。頑張って飛ばせるのは瑞雲や彗星くらいだものね。」
と、伊勢が言った。
「しかし、戦艦は戦艦です。」
冷ややかな声で言ったのは加賀だった。
「私たちは戦艦とまで同室をするほど余裕はありませんので。」
戦時はともかく、この呉鎮守府における平素の消費資材は各寮ごとに定められており、できれば各艦娘とも自寮の資材の消耗を極力抑えたいというところがあった。加賀の言うことはその各艦娘の思いを代弁したことになる。
「何を言う。こちらも空母と同室ができるほど余裕があるわけではない。」
「燃費が悪い戦艦だからでしょう。自業自得です。」
「それはこちらの台詞だ。我々は燃料弾薬程度で済むが、そちらはそれに加えて貴重なボーキサイトを貪り食っているのだからな。」
ガタッと椅子が鳴った。一同が見ると赤城が顔を赤くして俯いている。
「みんなやめなさい。新型艦が来るというのに、こんな言い争いをしているところを見られたら、呉鎮守府はそんなものなのかとがっかりされます。それに、そもそも戦艦も空母も燃費についてはこれまで何度も話し合ってきたこと。お互いそれぞれの立場はよくわかっているでしょう。」
両者を交互に見ながら、鳳翔がたしなめた。さすがに秘書艦を務めるだけあって、威厳があふれている。
「すまない・・・・少し言い過ぎたようだ。」
日向が詫びた。
「いえ、私の方こそ。」
加賀も頭を軽く下げた。
「わかりました。それほど皆さんが受け入れを拒否するのなら、私が提督に具申申し上げて新しく特務艦専用寮を設けます。その費用は当然皆さんの各寮から割いて捻出しますから、そのつもりで。」
これには全部の艦娘が驚いた顔を隠さなかった。
「どうじゃろう、こうしてはどうかの?」
ぱっと手が挙がったのは航空巡洋艦に改装されたばかりの利根だった。
「吾輩と筑摩、それに熊野、鈴谷は航空巡洋艦じゃ。比較的燃費も資材も食わん。もしよければ航空つながりでこちらにきて
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