第二話 私の「カテゴリー」
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なのか、前世がいったいどうだったのか、それもわからないんです。だめですよね・・・・。」
「そんなことはないと思いますよ。」
霧島がふっと表情を緩めた。ややしばらく黙っていたが、再び紀伊の顔を見た。
「私、いえ、私だけではなくて金剛お姉様や比叡お姉様、そして榛名と私はもともと戦艦ではなかったのです。正確に言えば巡洋戦艦というカテゴリーに属します。今でこそ戦艦寮に住んでいますけれど、最初はやっぱりほかの戦艦の方々からは異色の眼で見られました。」
「そうだったんですか・・・・。」
紀伊は最初霧島を見た時、何の疑いもなく戦艦だと思っていたが、実はそうではなかったのだ。
「でも、今はみんなわかってくれています。純然たる戦艦ではないので、火力や装甲においてはやや劣勢の部分は否定できませんが、長所もあります。私たちの最大の特徴は高速です。それは他の戦艦の皆様方には真似は出来ない事です。だから空母の皆様の護衛にもつけますし、高速を生かした一撃離脱戦法も可能なのです。」
少し誇らしげに言う霧島を見て紀伊はとてもうらやましいと思った。
「長所短所は誰でもあります。短所から目をそらせというわけではありませんが、あまり考えすぎると、自分の長所も見失ってしまいますよ。自分の長所・短所が何かを理解して、それを最大限に生かすことが大事だと思います。」
思いもかけなかった霧島の言葉に紀伊は目を見張った。今まで自分というものをどうとらえたらいいかわからず、闇雲にさまよっていたが、今何か一条の光がすっと差し込んできたような、そんな気持ちだった。
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、私こそ少ししゃべりすぎました。色々と申し上げてお気に障ったら許して下さい。」
「いいえ、そんな!!」
「何かあればいつでも私のところに、いいえ、私たちのところに来てくださいね。」
「はい!」
紀伊はようやく笑顔になってうなずいた。
同時刻――。鎮守府会議室――。
「それでは、新型艦の到着と同時に各寮の部屋割りを再編したいと思います。」
秘書官の鳳翔が各艦娘たちを見まわしながら言った。
「お手元に配布した資料が私と提督とで話し合って作成した案です。しばらく時間を置きますから、よく読んでください。」
しばらくは開いた窓から静かに流れ込んでくる心地よい微風のほかは静かに紙をめくる音だけが部屋に響くだけだった。
「どうでしょうか?」
「一つ質問がある。」
真っ先に手を上げたのは航空戦艦日向だった。
「なんでしょうか?」
「この編成表だと、私と伊勢、榛名、霧島のほかに例の新型艦が入るとのことだが・・・・。」
日向は鳳翔をじっと見た。
「彼女は航空戦艦なのか?事前に見せてもらった履歴書では、確か正規空母並の飛行甲板を備えているとあったはずだが・・・・。」
「ええ。
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