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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二話 私の「カテゴリー」
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いて見せた。
「なんとか走れると思います。私たちがフォローします。」
雷が言った。
「その子が一番危なそうだから、輪形陣形の中心にすえて。速度は合わせましょう。私とプリンツ・オイゲンが先行するわ。霧島と夕立は後方を守備。天津風は右舷を、そして雪風は左舷をお願いね。」
「大丈夫、雪風が絶対お守りします!」
雪風が片手を上げた。

 一行は白波を蹴立てて走り始めた。その途上、雪風や天津風から例の独国艦娘たちが先週着任したばかりだということを知った。その頃には暁たちは特命を受けて横須賀鎮守府に紀伊回航の護衛任務に回されていたから、あっていないのも当然だった。聞けば遥か欧州からはるばる横須賀に派遣され、その後呉鎮守府に配属されたのだそうだ。その見返りにヤマト側は酸素魚雷その他の技術を独国に提供したらしい。
「そうだったのね。どおりで見ない顔だと思った。」
「でも、諸元性能はすごいっぽい!昨日も敵ル級を轟沈させたっぽい!」
「ル級をなのです!?」
「ええ。速度と火力、そして戦闘における的確な指揮ぶりは私霧島も感服するほどです。」
「私たち、ちょうど鎮守府近海で深海棲艦を撃破して戻ってくる途中だったの。響からの通報を受けて提督が至急出撃命令を下したのよ。」
天津風が経緯を説明してくれた。
「よかった・・・・。」
紀伊が胸をなでおろした。たまたまこの艦隊が帰還途上にあったからいいものの、そうでなければ、どうなっていたかわからない。第6駆逐隊の面々は久しぶりに再会したのがうれしかったのか、夕立や天津風、雪風とにぎやかにしゃべり始めた。先頭を行くビスマルクはちらっとこちらを振り返り、周りを見まわしたが、何も言わず再び前を見た。もう呉に近いので、敵もやってこないと判断したのだろう。紀伊は仲のいい駆逐艦娘たちを見てとてもうらやましく思ったし、何やら寂しくも思っていた。
「あの〜。」
不意に横合いから声がしたので、紀伊はびっくりした。
「あ、ごめんなさい。驚かせてしまって。」
「いいえ。私こそごめんなさい。霧島さん・・・でよろしかったですか?」
「はい。さっそく覚えていてくださってありがとうございます。」
霧島はにっこりした。
「いいえ、そんな・・・・。」
「ところで、ビスマルクさんも言っていましたが、紀伊さんは艦種は何に属するのですか?」
「それは・・・・。」
紀伊は視線を落とした。
「わかりません。よく、わからないんです。横須賀鎮守府でもみんな私を紀伊としか呼ばなかったですし・・・・。」
その他にも言いたいことがあったのだが、今はそれを言うべき時ではないと紀伊は話すのをやめた。
「すみません。何か聞いてはいけないことを聞いてしまったようですね。」
「いえ、ちゃんと自分自身を紹介できないわたし自身が悪いんです。私は自分が誰
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