幻の特務艦紀伊。
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きを止めた。
「電の本気を見るのです！」
連装主砲弾が駆逐艦を貫き、大爆発を起こした。残った軽巡洋艦はめったやたらに砲撃を浴びせかけてくる。その中をかいくぐった暁が魚雷発射管を相手に向けた。
「暁の出番ね、見てなさい！！」
放たれた魚雷は放射状に敵艦に向かっていき・・・・大音響とともに巨大な水柱が噴き上がった。
「やった！！」
暁が両拳を握った。そのそばに雷も響も来た。
「すごい・・・・。」
紀伊は呆然と4人を見ていた。
（あんな小さな体なのに・・・敵の駆逐艦と、それに軽巡まで撃沈するなんて・・・それにくらべて、私はただ体が大きいだけ・・・・戦艦としても空母としても全然役に立てなかった・・・・・。）
「紀伊さ〜ん！！」
はっと紀伊は顔を上げた。暁たちが手を振っている。ほっとして手を振り返そうとした紀伊は次の瞬間叫んでいた。
「暁さん、後ろ！！！」
「えっ！？」
振り向いた暁を砲弾が襲い、大爆発が海上に起こった。
「暁ちゃん！！」
紀伊のそばにいた電が急いで姉のもとに走った。だが、それより早く雷が暁をかばうようにして下がってきた。その彼方で一人残った響が新たに現れた敵艦隊の相手をし始めている。暁は雷の肩にすがっていたが、ひどいけがをしていた。
「もう・・・許さないん・・・だから・・・・。」
幸い急所を外れていて轟沈は免れたが、暁はボロボロだった。主砲は折れ曲がり、魚雷発射管は片舷が外れ、もう片方も発射不可能になっている。
「そんな・・・暁ちゃん・・・・。」
電が震えていたが、やがてきっと敵をにらむと、波を蹴立てて突撃していった。その前方に展開している敵の陣容が今は紀伊にも目視できた。
「敵は・・・駆逐艦４隻、軽巡1隻・・・・それに、重巡まで！？」
紀伊は愕然となった。
「主力艦隊が別にいて・・・・さっきのは囮だったのね・・・・。」
「紀伊さん！！」
鋭い声に紀伊ははっとなった。雷が叫んでいた。
「紀伊さん、お願い！！お願い、力を貸して！！！このままじゃ――。」
その時大音響とともに砲撃音がした。駆逐、軽巡に続いて、重巡までが砲撃を開始したのだ。響に加勢した電だったが、敵が圧倒的だった。二人の周囲には水柱が立ち続け、このままでは負けるのも時間の問題だ。
「でも、私は・・・実戦経験が――。」
「そんなこと言っている場合じゃない！！お願い、このままじゃみんな死んじゃうのよ！！」
（死ぬ・・・わかってる、このままじゃ！！でも、怖い・・・・。今まで敵と戦ったこともないのに！！でも、このままじゃみんなが！！私は・・・どうすれば・・・！！）
拳が震えていた。
「紀伊・・さん・・・。」
紀伊は弱弱しい声の主をみた。片目を苦しそうにつぶった暁が見上げている。そっと手が差し出された。
「だい・・・じょう・・・ぶ・
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