幻の特務艦紀伊。
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げた。
「電探に艦あり・・・・!?」
彼女は慌てたように素早く周りを見まわした。
「艦!?こんな内地で・・・まさか敵が来たっていうの!?」
雷が愕然となった。
「はい。明らかに味方艦籍とは違うノイズも入ってきています。」
紀伊は顔を引きしめ、なおも慎重にあたりを見まわした。
「方位、230。艦影数隻ですが、急速に接近中!!」
「まずいな、」
「気づかれた!?」
「ど、どうするのです!?」
「決まっているわ、今は逃げるのよ、全速力で!!」
暁が叫んだ。
「紀伊さん、ついてこれる?」
「は、はい!!」
「よし、行くわよ。全艦隊紀伊さんを中心に、輪形陣形のまま第一戦速!!」
5人は直ちに全速力で離脱した。たちまちあたりに白波が湧きあがり、艦娘たちの足を洗っては後方に流れ去っていく。
「捉えた。」
左側面を走っていた響が視線を西に向けた。
「こっちもよ。敵は方位230から260に移動して向かってきている。私たちを補足するつもりだわ。頑張って、急いで!!」
既に36ノットを越えてきている高速だが紀伊が息を乱し、遅れ始めた。
「暁ちゃん待つのです!!」
電が声を上げた。はっとして暁が反転する。
「何をしているの――!!あ、そうか・・・・紀伊さんは駆逐艦じゃないから――。」
「わ、私に構わないで、皆さんは行ってください!!」
「でも――!!」
「私のせいで、友達を危険な目に会わせるわけには!!」
ぺちっと紀伊の背中が鳴った。響が手のひらを紀伊の背中に打ち付けたのだ。
「それはこっちの台詞だ。友達を危険な目に合わせられない。」
「響さん・・・・。」
「そうよね、ここで友達を見捨てるなんて一人前のレディーのすることじゃないわ。」
暁が胸を張った。
「大丈夫、きっと紀伊さんを守り抜くから、心配しないで!」
雷がうなずいた。
「よし、ここで敵を迎え撃つわ。響、呉鎮守府に緊急打電よ。」
「もうしてある。」
「さっすが。」
「来たのです!!」
電が叫んだ。第6駆逐隊の4人は紀伊を護るように展開した。遠くに白波が立つのが見える。その中に黒い異形の物体がうごめいていた。
「ひとつ、ふたつ、みっつ・・・・駆逐艦が3隻、軽巡が1隻ね。みんな、行くわよ!」
暁が叫び、4人は水面をけって滑るようにして飛び出していった。
「さて、やりますか。」
響が冷静に主砲を構え、頃合いを図って撃ちはなした。先頭を行く敵駆逐艦の頭に命中、大爆発を起こした。
「さすが響きちゃんなのです!・・・はわわわ!!」
電の周りに水柱がたった。敵も発砲を開始したのだ。
「電、大丈夫!?・・・て〜〜!!」
電をかばうように進出した雷の放った主砲弾が敵駆逐艦の側面に叩き付けられ、転覆して爆発した。それに気を取られるように一瞬敵の駆逐艦が動
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