暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第18話 夕暮れの死闘
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信用してもらえたみたいでよかったよ」
「うん、ごめんなさい。きゅうに武器を向けたりして」
「いや、俺の方も不注意だった。いきなり声をかけたらそりゃ驚くよな」
 黒いプレイヤーは申し訳なさそうに言ったあと、首に手を当てた。その表情や言動でソラは、この人は悪い人じゃない、と確かに認識する。
 少し不自然に笑ったプレイヤーは、多少真剣味を帯びた表情をして、ソラに訊ねる。
「ところで、ずいぶん慌ててたようだけど、何かあったのか?」
「うん……あ、そ、そうなの! いま本当にたいへんなことが起こってて!」
 ソラは手をバタバタさせながら、再び混乱に陥りそうになる。黒のプレイヤーも困ったような顔をしてどうしたものか、と?をかいた。
 だが、次の一言を聞いた黒のプレイヤーは、目を見開く。
「ゆ、ユウ兄ちゃんが、大変なことに!」
「――ユウ……?」
 口元を引き締め、眼を鋭くしながらソラの目の前にいるプレイヤーは、さらに真剣味が濃くなる。ソラもそんな彼を見て、落ち着きを多少なりとも取り戻した。
「そのユウっていうプレイヤーは、どんな見た目をしているんだ?」
「え? えっと〜……男なのに髪が長くて、少し目がつり上がってて、カタナを使ってるよ?」
 ソラのたどたどしい言葉を聞いて、さらにプレイヤーは顔が険しくなる。その様子に思わずソラは疑問を感じたが、言葉にする前に目の前のプレイヤーは口を開いた。
「……そうか、詳しく教えてくれないか?」
 ソラは小さく頷き、さっきまでの出来事を身ぶり手ぶりを交えて説明する。もちろん、焦りも手伝い色々と不十分な点も多々あったが、黒いプレイヤーは静かに頷いていた。
 一分後、すべてを説明し終えたソラは胸の内を明かしたことへの解放感を感じつつも、見知らぬプレイヤーに言ってしまったことに罪悪感を覚える。
(い、言っちゃったけど、良かったのかなー……)
 本来ならば心から信頼できるプレイヤーに言うべきなのだが、今回だけは本当に運が良かったと言えるだろう。
 今ソラの目の前にいるプレイヤーは、正真正銘ユウの知り合いだったのだから。
「――わかった。君は安全な場所まで避難してるんだ。ここから左にまっすぐ行くと小さな村がある。そこで待っていてくれ」
「え……? でも、ユウ兄ちゃんが……」
「そっちには、俺が行く。ユウ兄ちゃんは絶対に連れて行くから」
「えっ?? で、でも危ないよ!」
 ソラの言葉に黒いプレイヤーは、ニヤリと笑う。
「俺なら大丈夫さ。それより、ちゃんと村に行くんだぞ」
 何でもない風に言うと、黒のプレイヤーは片手剣を装備し直したあと、ソラが来た道を恐ろしいほどの速度で駆けていった。
 ソラは思わず呆然と立ち尽くし、その後ろ姿を見続けた。

   *

「うおぉぉおお!」
 無意識に
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