第2章:埋もれし過去の産物
第46話「前を向いて」
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らしら?」
まだ眠っている葵を放置し、外に出て確認する。
...案の定、優輝が木刀を振っていた。
「無理...してる訳ではないのね。」
昨日は結局、優輝は部屋に戻ってそのまま眠ってしまっていた。
なので、椿は心配していたのだが...杞憂だったようだ。
「(昨日までの鬼気迫る感じじゃない...。一切の波がない水面のように落ち着いている...。)」
「....ふっ!」
流れるように、素早く、鋭く木刀が振るわれる。
それはまるで、呼吸をするかのように自然な動きで、見惚れるような軌跡だった。
「....心構えが違うだけで、ここまで変わるんだな。」
「(...どこか、晴れやか...というか、後ろ暗い雰囲気がなくなったわね...。)」
今まで悲しみに暮れていた雰囲気と違う事に、椿も気づく。
そんな椿に、優輝は気づいていたのか、声を掛ける。
「おはよう、椿。」
「...おはよう、優輝。...乗り越えたのね。」
椿のその言葉に、優輝は微笑む。
「...ああ。緋雪は、僕を信じて逝ったんだ。...その信頼に答えないとな。」
「でも、無理はしないでよね?」
「分かってるさ。...素振りも、今ので終わりだしな。」
そう言って、優輝は椿に笑いかけてから、家に戻った。
その笑みに中てられたのか、椿の顔がみるみる赤くなる。
「....もう、不意打ちするんだから...。」
そう照れ臭そうに言う椿も、笑っていた。
...それほどまでに、優輝が立ち直った事が嬉しいのだろう。
「...そっか、立ち直れたんだね...。」
「まぁ...な。本当に心配かけたな。」
リビングにて、朝食を食べながら優輝は葵と会話していた。
「ううん。あたしとしても、優ちゃんが元気なら嬉しいよ。かやちゃんも嬉しそうだし。」
「っ、あ、葵!いちいちそう言う事言わなくていいの!」
葵の余計な一言に椿が反応するも、葵の言う通り嬉しそうだった。
花もいくつか出現しており、嬉しさがよく分かる。
「...なぁ、椿、葵。それとリヒトにシャル。」
「な、なによ。」
〈なんでしょうか?〉
ふと名前を呼ばれ、何かあるのかと聞き返す椿とリヒト。
葵とシャルも聞き返してはいないものの、気にしているようだ。
「...これから、何度も失敗したり、躓いたりして立ち止まるかもしれない。...でもさ、少しずつでも、確実に前を向いて進んでいくから...ついてきてくれるか?」
〈...マイスター...。〉
〈マスター....。〉
優輝は、少し儚い笑みを浮かべ
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