第2章:埋もれし過去の産物
第46話「前を向いて」
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、生きて。】
「......。」
【私の死を、気にしないでなんて言わない。気にしてもいい、悲しんでもいい。...でも、前を向いて。私の死を、引きずらないで。】
僕にそう語りかけてくる緋雪の声が、段々と上擦ってくる。
その目尻には、涙が溜まってきていた。
【きっと、お兄ちゃんは私を助ける方法があったはずだと、そう思ってると思う。...でも、例え方法があったとしても、私は後悔しない。】
「緋雪....。」
思い出すのは、殺す寸前の緋雪。
あの時の緋雪の言葉は、本心からの言葉で、確かに死ぬという結果を後悔していなかった。
【...人の気持ちなんて、分かりっこない。だから、この映像を見ているお兄ちゃんがどんな思いをしているのか、正確には分からないよ。】
「...っ。」
【...でも、お兄ちゃんなら、この映像がなくても、いつの間にか立ち直ってると思う。...だって、私のお兄ちゃんだもん。...そう、信じてる。】
涙を流し、声を上擦らせながらも、緋雪ははっきりと、そう言った。
その言葉に、一体どれだけの想いが込められたのだろうか。
【だから、ね?私が死んでも、無理しないで。ちょっとずつでいいから、前を向いて歩き続けて。...どうか、幸せに、生きて...!】
「緋..雪....。」
それは、懇願にも似た、緋雪の想いだった。
自分が死ぬと分かっても、悲しんでいるであろう僕のために、幸せを願う。
自分の“生きたい”という気持ちを抑えてそう願う緋雪は、どんな気持ちだろうか。
今は、もうそれを確かめる術はない。
【....さようなら。私の大好きな、お兄ちゃん....。元気でね...。】
「........。」
涙を流しながら、映像はそこで切れる。
「っ...ぁぁ...!」
映像が終わり、メッセージを聞こうと思っていた僕の態勢が崩れたからだろうか。
不意に、涙が溢れてくる。
「ぁああああああああああああああああああああああああああ....!!!!」
涙を流し、僕は叫んだ。
悲しみを吐露するかのように。
緋雪がいない寂しさを、改めて認めたかのように。
僕は、気持ちを吐き出すように、泣き叫んだ。
―――...緋雪、今までありがとう...。もう、僕は大丈夫だ。
=out side=
「....ん....。」
志導家の和室にて、椿が目を覚ます。
「(...木刀を振る音?)」
体を起こした所で、庭からそんな音を聞く。
「...優輝か
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