第2章:埋もれし過去の産物
第46話「前を向いて」
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ったらそう思うと思う。】
「.....。」
【...でも。】
「っ。」
儚い、そんな雰囲気の表情が一変し、少し睨むような顔で緋雪は言った。
【甘ったれないで。】
「っ....!?」
【悲しい?苦しい?悔しい?...うん、両親がいなくなった時、私もそうだったからそう思うのは仕方ない。...だけどね。】
一度そこで一区切りを付け、緋雪は息を吸って言葉を紡ぐ。
【私が死んだから、シュネーが死んだから、それで立ち直れなくなるのは、やめて。】
「っ....。」
【お兄ちゃんも人間だもん。立ち止まる事はあるよね。...でも、いつまでも引きずらないで。前を向いて、ちゃんと歩き続けて。】
強く、諭すように、緋雪は映像を見ている僕にそう言う。
【...私が死んだら、志導家はお兄ちゃん一人になってしまう。だけど、周りには椿さんや葵さんがいるし、司さん、すずかちゃん、アリサちゃん、士郎さん、恭也さん。他にも、久遠や那美さん、クロノ君とかアースラの人達もいる。】
「......。」
【...決して、一人で背負いこまないで。...もっと、周りを頼って。...もう、お兄ちゃんには、いっぱい頼れる人がいるんだから...。】
言外に、“私がいなくても大丈夫”だという、緋雪。
...自然と、涙腺が緩くなってくる。
【私だって、死ぬのは怖い。死にたくない。...一度死んだのだから、余計そう思える。...だけど、せめて悔恨だけは残したくない。】
「ぁ....。」
【...私は、お兄ちゃんに悲しんでほしくない。泣いてほしくない。...ずっと、支えになりたいって、そう思ってる。だから、前を向いて...立ち止まらないで...!】
段々と、緋雪の表情が崩れて行く。泣きそうに、なっていく。
【お願い...お兄ちゃん...!心苦しいのは、悲しいのは分かるよ。でも、そうじゃないと...私、安心して、死ねないよ...!】
「.....!」
それは我が儘で、自分の気持ちを押し付けるだけの詭弁だった。
...だけど、僕はその言葉に心が打たれた。
【私は...死なないといけない。シャルが言うには、吸血鬼...生物兵器という概念が、私の魂にまで影響してるから...どの道、長くない。】
「....だから...か....。」
僕が緋雪を殺すときも、同じことを言っていた。
本来なら前々世の事だから関係ないはずなのに、あの時は生物兵器として存在していた。
...あの時は疑問に思っていなかったけど...なるほど。生物兵器の因子が、魂に刻まれて、それが今になって表に現れた...と言う事か。
【だから、お兄ちゃん。私の分も
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