第2章:埋もれし過去の産物
第46話「前を向いて」
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=優輝side=
「.....緋雪....。」
映像に映る緋雪。
もう、見る事のできない、“生きて動いている”緋雪の姿。
...それを見ているだけで、胸の奥が熱くなる。
【お兄ちゃんがこれを見てるって事は、私はもう、そこにいないか、死んでると思う。】
「っ.....!」
そしてそれは、自分が死んだ後、僕へと向けたメッセージだった。
【そして、この映像はお兄ちゃんが立ち直れない時のために残したの。...だから、今見ているお兄ちゃんは、私が死んだ事を引きずってるんだよね?】
「....予期していたのか...。」
映像を撮っていた時、既に緋雪は自分が死ぬ事を予想していた。
その事に少々驚いた。
【...シャルに教えて貰ったよ。私がかつて...前世の、そのまた前世は、古代ベルカ時代に名を馳せた“狂王”だって言う事、私はその生まれ変わりだという事を。】
「.....。」
【そして、お兄ちゃんは狂王の幼馴染...導王ムート・メークリヒカイトだという事も。】
「シャル、お前....。」
いつ教えたのか、緋雪はいつそれを知ったのか。
記憶が曖昧な今の僕には分からない。
【私の前々世...シュネー・グラナートロートは幼馴染のムートを殺したと、歴史では伝えられてるって言う事も教えて貰ったっけ。】
「...歴史ではそうなってる...。」
【けど、それは違う。ムートはシュネーの目の前で殺された。シュネーを...前々世の私を庇って。】
僕は既に思い出しているけど、この映像の緋雪はそれを知らないはずだ。
...でも、まるで自分の事のように...。きっと、魂に記憶が刻まれてるのだろう。
【...シュネーは悲しんだ。そして狂った。彼を殺した者達に復讐するために。】
「.......。」
その行為は僕にもわかる。
あの時緋雪と...シュネーと相対した時、それほどまでの狂気と悲しみを感じられたから。
【...覚えてない私にも、その悲しみは分かるよ。】
他人事だと、あまり実感がないかもしれない。
だけど、映像の緋雪は、本当にその悲しみを理解していた。
【...そして、これを見ているお兄ちゃんも、悲しみを味わってるんだろうね。】
「っ....。」
【どうして私を助けれなかったか。どうして死なせてしまったのか。悔しくて、悲しくて、心が折れそうで。...きっと、無理してると思う。】
「....。」
ばれている。予想、されていた。
僕の今の気持ちが。無理しているという事が。
【悔しいよね?悲しいよね?私も同じ立場だ
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