第二部
狩るということ
にじゅう
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
最後の1体を取り逃がしてしまったことが悔やまれる。しかし、いまの私にはどうすることもできないので、取り合えずその考えは放り投げておく。
さて、そろそろ帰ってきてもおかしくないほどには時間は経過しているが、いまだにそれらしい人影は認められない。
それならば仕方がない。
少しこの森の浅い場所も騒がしくなってきている。というか、元の生態系に戻ってきているといった方が正しいのかもしれない。
あのゴキブリの番や、面白生物が原因で、どうやら少々この辺りは混乱していたようだ。
……私の所為だとは思いたくないが、果たしてどうなのか。
一旦、ロングソードの束にカモフラージュを掛けておき、少々探索に出掛けることにしよう。
彼女には念のために追跡装置を張り付けてあるし、ここに戻ってくればすぐに分かるようになっているので、心配はないだろう。
あとは私が数分で戻れるような距離にいればいいだけの話である。
……彼女に無断で追跡装置を付けたことは内緒だ。
―
森の探索をすること数時間。
マイナスイオンに体を浸して、私は野生に生きる動物たちを眺めて1人、ほのぼのと癒しの時を過ごしていた。
とは言っても地球の自然の多い森とあまり変わりはなく、鹿や狼、熊や兎など、目新しい生き物にお目にかかることは無かった。
やはり、森の浅い部分にはあまり魔物と呼ばれる生き物はいないようであり、稀に小鬼などが出てきては野生の生き物を追い回しているのが認められた位だ。
この程度であるならば、武装している人間であれば早々に遅れをとることはないと思われる。しかし、狼などの群れで狩りを行う生き物には注意が必要だろう。
『戦争は数だ』、などと言っていた人物がいたが、概ね正しい意見だと言わざるを得ない。それを覆すほどの武勇に優れた存在が早々いるとは思えないが、まだまだこの世界の広さは私の理解の範囲外であるため、この森の浅い場所に来たことにより、私は初心に帰ることができたのかもしれない。
そんな自分を見つめ直していることに若干の居心地の悪さというか、気恥ずかしさを感じた私は、ヘルメットから知らされたマーカーに意識を向けて誤魔化す。
「やっと帰ってきたか。しかし……」
彼女以外にも複数の存在を確認。
さて、どんな面子がきたのか……。
まあ予想はできるが、早速戻ってみるとしましょうか。
―
やはりそこにいたのはエリステインと、恐らく村人なのだろう荷馬車を引く、汚れた麻布の服を纏う男、そしてあの惨状から生き延びた騎士3名と、それに総隊長と呼ばれた男であった。
ふむ、騎士3名と総隊長と呼ばれた男に至っては、怪我を負った
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ