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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第十三話 独りでは何もできないのです。
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いに腕を振るったので、士気も旺盛になっていった。
今日も猛訓練を終えて、シトレがようやく自室に引き取ったところ、ドアがノックされた。
「失礼します」
「入り給え」
ドアが開けられ、シャロン・イーリス大尉が立っていた。きちっとした軍服を着こなしている。とても20時間連続で訓練に当たっていたとは思えない。
「統合作戦本部から電文が入りました。『貴官ノ訓練ノ成果、甚大ナリ。益々励ムベシ』と」
この電文が来たということは、すなわち統合作戦本部からエル・ファシル星域の奪還命令が来たということである。
「そうか、いよいよか。イーリス大尉、エル・ファシル星域の敵の配置、動向は逐一把握できているかな?」
「むろんです」
シャロンは微笑を浮かべた。
「敵艦隊の総数は7000隻ですが、辺境の非正規艦隊です。当初1万5000隻ほどいた艦艇も、私たちが動く気配を見せないことに慢心したのでしょう、少しずつ本国に引き上げたようです」
もっとも、エル・ファシル星域帝国側回廊付近にはなお非正規艦隊として1万隻が待機していますが、とシャロンは口を出した。
帝国軍には正規艦隊と非正規艦隊とがある。正規艦隊はその名のとおり帝国軍そのものである。非正規艦隊は辺境防衛地方軍、貴族の私兵等いわゆる雑多な編成が多く、練度は当然正規艦隊に劣る。だが、非正規艦隊でも回廊に近い辺境部隊は絶えず同盟などと小競り合いを行っているため、決して侮れない練度でもあるが。
「フッ、敵も存外短慮だな。だが、その短慮が命取りになるのだ」
「増援艦隊を待機させているので、そう簡単には失陥しないのだと思っているのでしょう」
「そこが付け目なのだ。敵の旗艦の配置はわかっているかな?」
これです、とシャロンは端末からリアル3D配置図を浮き上がらせてシトレに示した。そこには驚くべき詳細さで配置が書き込まれている。
「これは誰の情報なのだ?」
「私です」
「何?しかし貴官は――」
「訓練の合間に、数度エル・ファシル星域に単独先行をおこない、情報を集めてきました。」
「まさか、貴官の病気は――」
シトレにシャロンはそっと指を一本立てて黙らせた。上級指揮官に対する礼としてはあるまじきことだが、シャロンの非凡さに気がついていたシトレは黙り込んだ。
訓練中、シャロンは時折頭痛がすると言い、業務を休むことがしばしばあった。それはこのためだったのだ。そのため彼女の評判はあまり芳しいものではなかった。シトレ自身もそう思わないでもなかったが、ブラッドレー大将自らが推薦してきた女性なのだ。何かあるに違いないと思い、何も言わずに放っておいた。
その結果がこれだ。平素の副官の任務のほかにそれまでもこなしていたのかとシトレは頭が下がる思いだった。
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