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う表現が誤解を招いたようだな。確かにここは空想世界ではない。説明すると長くなるが、君たちには聞く権利がある。ここは、VRワールドだ。一番手っ取り早く話せばその答えに辿り着く。我々開発チームが正式名称virtual reality modeling language systemと呼び開発を進めてきたシステム、略してVRSと呼称しているが、ここは完全なるバーチャル、つまり電脳世界という事だ。名称として、Another Realityという名前を付けてあるので、わざわざVRSなどと呼ばないでほしい」
日本人とはかけ離れた流暢な英語を交えつつ、先程俺がした予想と同じような事を解説する。
まだまだ一音の濁りも無さそうな説明が続きそうだが、俺達の抱える疑問はあまりにも多い。最低でもそれら全ての疑問の答えを知るまで、ここからは動けないようだ。押し寄せている人の量がそれを示す。それならもっと早く答えを探るべく、俺の中の知識を総動員する。
ヤツは、湊と名乗る白衣の男はこう言った。ここはバーチャルの世界だと。そうなれば答えは三つに限られる。一つは、俺が際限なくリアルな夢を見ているという可能性。思いついた瞬間削除した。
二つ目は、俺が睡眠中など無防備な時に秘密裏に運ばれ、どこか知らない所へと移された可能性。
だが、それも無いと断言できる。俺は今、生まれてきてから一番とでも言いきれるほどに気が張っていた。そんな極緊張状態で不審者に気付かないはずがない。そうなれば残りは一つしかない。
三つ目、ここが本当に湊の言う通りのVR世界だという事。
21世紀も折り返そうかというこの時代、バーチャルリアリティシステムの開発はどこのゲーム会社でも積極的に行っている研究だ。拡張現実(AR)の開発は既に全盛期を越え、今は消極的になっている。人間が今一番追い求めているもの。即ち電脳世界に入り込み、そこであらゆる物事を体験できるシステム。
だが、《電流式》だの《運動連携式》だの、挙句の果てには《脳機能リミッター一次解除式》だのいろいろな手法で実現しようと試みてきたものの、一つとして完璧なものは無く、失敗作ばかりだった。最もいい線にまで達した《音波反響式》でさえ、恐ろしい程の体積を要求されるため、医療現場等でしか使われて来なかった代物である。
そのVRシステムを、一体全体どうやってマトモに使える、一般人が使えるように開発、あるいは改良したのか、現実世界ではプログラミング好きであり相当なゲーマーである俺からしてみれば、興味深いことこの上ない事変だ。何となくだが、これからその話に触れそうな気がする。俺は周囲の喧騒から意識を遮断し、静夜の言葉に耳を傾けた。
「我々《フォーレイズ》、略してFRの開発チームは、《音波反響式》のVRマシンインタフェースを改良し、頭にちょうど被さる
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