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頭の中に渦巻いていた疑問が知らず知らずの内に発せられた。
「どこだ……ここ」「ここはどこだ?」
完全に同期して聞こえた異口同音の質問に飛び上がりそうになりながら音の発生源を向く。そこには背中に直剣を吊り恐らく俺と同じの呆けた顔をした男の姿がある。そもそもなぜ隣に人が、どうして剣など持って、など様々な問いが頭の中を駆け巡るが、どれ一つとして口にできず、逆に強張ってしまう。すると目の前の男が俺の中の一つの疑問を呈した。
「……お前は誰だ?」
その後ようやく大量の人々が周りにいる事に気付いた俺達は、大声で叫んでも聞こえない程度に離れた場所で、質疑応答を始めた。
さすがに無関係の人かもしれない――ほんのすぐ隣にいたのは事実なのだが――者に自分の名前を明かすのは危険すぎる。それよりも、と頭を振って俺は先刻浮かんだもう一つの疑問の答えを求めようとする。
「ここはどこだ?状況を一変させるなにか……、君は知らないか?」
かなり混乱しているせいで語彙が乱れ、普段使わないような口調で質問をしてしまったものの――それでも頭の中は常に十分に冷えている――、俺より幾分かは冷静さを取り戻している相手はしっかりと理解したようで、しばらく考え込む。と思いきや、急に大仰に首を横に振り、恐らくは俺も予想していたであろう言葉を返してくる。
「知ってたらお前と話してるうちに実行している。そっちこそ何か知ってる事は無いのか?大体俺は世界の何を知っているわけでも……」
そこで何か思い出すかのように下を向きおとがいに手を添える男を見ながら、俺も思考を巡らせる。
「どっかのスクショで見たような気がするな……。オレの気のせいじゃなきゃいいんだが……」
スクショ?と疑問を抱きつつ、俺自身も記憶を引きずり出す。吹き抜けるような海色の空、通りの両脇に並ぶ石造りの建物、遠くに見える過度な装飾のない門。
ふいに背筋を冷感が走る。俺も何度も見た光景。どうにかしてここに来ようと思って眺めていた、この街並み。あれは、確か……。
「ユグドラシル!?」「ユグドラシルか!」
はっと顔を見合わせ、戦慄する。そうなればここはほぼ確実にゲームの中、電脳世界という事になる。とても信じられたものではないが、隣に立つ男が、そして彼の思考がそれを証明している。
相手の顔から、みるみる生気が抜けて行くのが分かる。今俺も同じように顔面蒼白になっているのは間違いないと見ていい、などとやけに冷徹に自分の今の状態を認識しつつある俺の耳に、どこからどう聞いても警告音と分かるアラーム音が届く。ヴゥゥゥン、と響く重低音と、ジリリリリ、と目覚ましのようにけたたましい音の合奏に呼応するように、俺は無意識の内に先程俺達が出現した広場に向かって走り出す。
「またすぐ後で合流しよう。キャラネームだけ教えてくれ!
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