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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン48 鉄砲水と砂上の異形
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 フィールドの守備表示モンスター1体を破壊する魔法カード、シールドクラッシュ。そこから放たれた光はツーヘッド・シャークを一撃で粉砕し、がら空きになった僕めがけサンドモスの拳が無造作に振り下ろされる。

 サンドモス 攻1000→清明(直接攻撃)
 清明 LP4000→3000

「ぐわっ……!?」

 うっかりいつものソリッドビジョンの調子でろくに受け身も取らず受け止めてしまい、頭が割れそうな衝撃を受ける。攻撃を終えプレイヤーのところに戻っていくサンドモスと、その後ろでリバースカードをセットするプレイヤーのサンドモスを尻目によろめきかかるもどうにか踏ん張り、殴られた箇所をそっと撫でる。まだずきずきと痛むとはいえ、骨や脳に異常はない、はずだ。
 とりあえずほっと胸をなでおろした次の瞬間、今更ながらあることに気づいて背中に冷水をかけられた気分になった。……今僕は、モンスターの攻撃で物理的にダメージを受けた。今はたかだか1000程度のダメージで僕のライフにも余裕があるからよかったものの、もしこのままライフが0になりでもしたら?要するにこれは、闇のゲームそのものだ。負けたところで魂がどうこうなることはないだろうけど、命の保証は何一つない。再び脳内をよぎる、チャクチャルさんが最後にアドバイスと称して掛けていった不穏な言葉。

「チャクチャルさん、もしかして最初からわかってたでしょ?……後で話聞かせてもらうよ」
『マスターならどうせ勝つだろう。だから交戦を勧めたんだ』
「ったく、そういうことじゃなくってさあ」

 仮にも命がかかってるんなら、それはもう信用とかそういうレベルじゃなくて一言断りを入れて欲しい。確かにこの命は2年前のあの日にチャクチャルさんから貰ったようなものだし、それについては今でも感謝してる。けどだからって、こんな人の命を粗末に扱うような真似はやめて欲しい。そう思うのは、僕の贅沢なんだろうか。やはり人間じゃないチャクチャルさんと僕の間には、何かどうやったって相容れない価値観の違いがあるんだろうか。
 ……お互い口には出さない。だけど、感じていることは同じだろう。この間も感じた僕たちの間の、表面的には見えないような溝。個人の性格だとかいうレベルでは済まない、もっと根本的な種族としての壁。それがまた少し、広がった感じがした。

 清明 LP3000 手札:3
モンスター:なし
魔法・罠:1(伏せ)
 サンドモス LP4000 手札:2
モンスター:サンドモス(攻)
魔法・罠:2(伏せ)

「……僕のターン。だったらこのカードで勝負、グレイドル・イーグル!」

 砂地に広がる銀色の水たまりが一点に寄り集まり、砂の色よりなお黄色い鳥の姿を模す。

 グレイドル・イーグル 攻1500

「ここは
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