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剣士さんとドラクエ[
92話 苦戦
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 何時ぞやのサイクロンのかまいたちよりは余程痛いけど……。受けた胸元が裂け、血が噴き出し、ぎりぎり骨は繋がって残ってるけど恐らく肺が真っ二つにされたようで、込み上げる血を吐き出しつつも、父上と母上が贈ってくれたミスリル製の鎖帷子は傷一つなく、なんとか私を生かしてくれた。あぁ胸が熱い、焼けているように熱いけど、それでも剣を振り抜けば至るところの肉が、腱がぶちぶちとちぎれるのを感じるけど、私は生きている。

 生きているなら、斬れるんだから!

 エルトの雷光一閃突きが、ヤンガスの大魔神斬りがドルマゲスの背後から炸裂した。私の渾身の一撃が、会心の一撃とでも言うべき一撃が前面から襲う。その強力過ぎる一撃はまさに、ドルマゲスは……言葉の通り真っ二つにした。

 そして憎々しいことにお揃いのように真っ二つ寸前の私に一瞬遅れて回復の光が降り注ぐ。ククールに何かあったの?……違う。ドルマゲスは前衛で攻撃を受ける前提で迫ってくる私達じゃなくてゼシカに向けて最期のかまいたちを放ったんだ。

 ゼシカとて、弱くない。でもこのメンバーなら……弱いほうだろう、体力は。私の方が魔法を考慮したら耐久力はないかもしれないけど、それはそれとして。ククールの必死の回復に自らの血の海から起き上がったゼシカは、真っ二つにされてもなお邪悪な笑いを顔に宿して蠢くドルマゲスを、メラゾーマの獄炎で、燃やした。

 嗚呼。でも、これでも。まだ、油断はしちゃいけない。

 頭では理解してるのに……こんな攻撃を受けたドルマゲスが生きてるはずないって……なのに、なのに、体が回復されてもなお激痛を訴え、倒れ込みたいっていうのに、嫌な予感が止まらない……!

・・・・
・・・
・・


 ぜいぜいと、あのトウカが激しく息を切らしながらも剣を構える。槍を構え、普段の温和そうな様子はどこかにいったエルトがその隣に並び立つ。そのエルトも傷を治したはずだが激しい戦闘のせいで今にも倒れそうだった。ヤンガスが膝をつく。ゼシカはメラゾーマを放ってからなんとか立ち上がったが、俺の支えがなければ立てないかもしれない。

 その俺も、あの戦闘の羽根の雨?フェザースコール……とでも言うのか、降り注いだ羽根の雨に全身切り裂かれ、傷を治しても服はズタズタで満身創痍に見えかねない。

 後衛であり、回復役であるが故に守られた俺が一番体力が残っているというのは、彼女達の健闘のおかげだろうな……。

 激しい炎がゆっくりと鎮火していく。ゼシカが魔法の聖水を無理矢理飲み下してメラゾーマを何発も、何発も追加して放つ。繰り返し繰り返し地獄のような炎を浴びてもなお……俺達にはわかる。きっと本能でみんな分かっているだろうが、アイツが死んでないってことは、分かる。

 想像通り、あの気配は衰えることな
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