暁 〜小説投稿サイト〜
歌集「春雪花」
226

[8]前話 [2]次話



 雨上がり

  真木も霞みて

   香るれば

 春の終りの

    近きとぞ思ふ



 雨上がり…日も差し、山波が霞みがかっている。

 淡い水墨画の様な山波…風が吹けば木々の香りを運び、中には夏草の匂いが漂う…。

 もう夏へと入り、春も終わりなのだ…そう思うと寂しさが込み上げる…。

 彼のいない夏…彼のいない…二度目の夏が来るのだ…。



 ありもせぬ

  淡き夢見し

    春の夜の

 風吹きにせば

   散りて消えなむ



 叶うはずのない夢…寂しさのあまり夜の闇に映し出してしまう…。

 春の夜はいとも短く…どれだけ夢を見ても儚く消えゆく幻…。

 それこそ…風が吹いて花が散りゆくように…私の見る淡き夢は、夜風に霧散して…消えてしまった…。

 後に残るのは、ただただ虚しい現実だけ…。


 彼のいない…私の世界だけ…。





[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ