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第十一話 出る杭は打たれるのです。
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そが同盟を支えているのだという風潮が高まって、統合作戦本部長はその風下に置かれていると言った風であった。
「遅れて申し訳ありません。本部長閣下」
「よせ、他人行儀な。俺はお前の直属の指導教官だったが、あの当時のお前は今ほどの他人行儀ではなかったぞ」
「はっはっは。これは手厳しいですな」
シトレは愉快そうに笑った。
「それで、小官をお呼びになったのは、いかなる理由でしょうか?」
「まぁ、かけてくれ。今コーヒーを淹れてやる」
統合作戦本部長自らが淹れるコーヒーは、シロン産紅茶の葉と並び最上級と称されるヴァジール星産のコーヒー豆を使用し、良質の水とサイフォンにこだわったものであるが、何よりも統合作戦本部長閣下ご自身が大のコーヒー好きということもあり、豆を手ずからひき、科学実験でもするような、だが楽しそうな手つきで慎重に淹れていくコーヒーはひそかに軍内部でファンが出来上がるほどの評判だった。
「そら、熱いからな。気を付けろよ」
シトレは恐縮してカップをとりあげ、ゆっくりと口に含ませ、その上質な香りと味を心ゆくまで堪能した。
「いやぁ、さすがは本部長閣下の手ずからお淹れになったコーヒーですな。これを味わえるだけでも、ここに来たかいがあるというものです」
「はっはっは。そう言われるのは悪くはないな。退役したら俺はコーヒー屋の親父になっているかもしれんぞ」
どっかと本部長椅子にすわった本部長閣下はこれまたうまそうにコーヒーをすする。
「その時は小官が開店第一号の客でありたいものです」
「文句を言わずに飲んでいるのであれば、どんな客でも受け入れるぞ。まったく、コーヒーは人間の文明に寄与するところ大だ」
「ところがです、残念ながらコーヒーを好まず、紅茶が好きだという人間もおります。ちょうど小官が同盟軍士官学校の校長をやっておったころ、一人そういうのがおりましたな」
「ほう?」
本部長閣下の手が止まった。
「コーヒーなんぞ泥水だと申します。あんなものを飲むよりも紅茶の香りを楽しんだ方がいいと」
「はっはっは!そいつはまいったな。ならばとても俺の部屋にこれまい。俺が出すものと言ったら、コーヒー以外にはないからな」
本部長は愉快そうに笑った。
「一度そいつにうまいと言わせてみたいな。そうすりゃ俺のコーヒーの腕前もそこそこ世間様に認められるレベルになったということだろうよ」
「それは楽しみですな」
「うん、一度そいつを連れて来てくれないか?」
「閣下も遠からずお会いになれます」
シトレの言葉に本部長閣下は目をぱちくりさせる。
「うん?どういうことだ?まさかもう来ているというのか?」
「いや、違います。例のエル・ファシル星域の会戦において、民間人300万人を見
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