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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
第28話
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ウスさんのお姉様かと思いましたわ。」
ラカンとファトマがそれぞれ自己紹介するとエリオットは緊張した様子で答え、セレーネは目を丸くしてファトマを見つめた。
「ふふっ、ありがとう。それにしても本当に……無事で何よりでしたね。」
「……皆さんの方こそ変わりなく安心しました。」
「よく戦闘に巻き込まれずに済んだわね?」
「うむ、戦が始まる直前にゼンダー門から報せがあってな。おかげで戦闘が激しくなる前にあの地を離れることができたのだ。」
「集落に到着した俺達は一緒に避難を手伝いつつ、ここまで辿り着いたというわけだ。」
セリーヌの問いかけにラカンとガイウスがそれぞれ答えた。
「なるほど、そうだったのか。だが、この状況がしばらく続くことになったら……」
「……この場所もいつまでも安全かはわかりませんね。」
「ああ、手強い猟兵たちも高原に入り込んでいるようだ。帝国での内戦が収まるまではしばし厳しい状況が続くだろう。」
クレア大尉の指摘に頷いたラカンの話を聞いたリィン達は黙り込んでそれぞれ複雑な想いを抱えた。
「―――とにかく今は自分達の果たすべきことを考えるべきでしょう。皆さんは、アリサさんたちに会いにここまで来たのでしょう?」
「そうだ……アリサとミリアム。彼女達はどこにいるんですか?」
「そういえば、ご隠居―――グエン老も見当たらないな……どこかへ出かけたのか?」
「うむ、調べ物があると言って先刻出かけていった。何でも、導力通信が使えなくなった原因を探るとのことでな。導力車を使って高原の北東部へ向かったようだ。」
リィンとガイウスの疑問にラカンは静かな表情で頷いて答えた。
「高原の北東部……」
「そういえば、高原全域の通信が使えなくなっているんでしたね。その割には、貴族連合に雇われた猟兵達は普通に使っていましたが……」
「ふむ……確かに不可解ですね。やはり貴族連合軍が何か仕掛けている……?」
「しばらくするば彼女達も戻ってくるとは思うが……どうする、ここで待っているか?」
「いえ……追いかけてみます。もしかしたら何か手伝えるかもしれませんし。」
「ああ、行ってみるとしよう。」
リィンの提案にガイウスは頷いた後両親に出立を告げた。
「父さん、母さん、もう一度出かけてくる。集落の留守は頼んだ。」
「ええ、任せてください。」
「北東部へは、ここから巨像の前を越えて山沿いに進めば行けるだろう。風と女神の加護を……気を付けて行ってくるがいい。」
「はい……!」
「それでは、行きましょうか。」
その後準備を整えたリィン達は馬を駆ってノルド高原の北東部に向かった。
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