外伝〜帝都への帰還〜中篇
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「……………………」
「俺やオリヴァルト皇子にも………だと?」
退出しようとしたオリビエ達だったが、ヒルダの言葉を聞きミュラーは驚き、オリビエは呆けた表情で考え込み、リウイは眉を顰めて呟いた。
「……ヒルダ夫人、その客人の名前は?」
考え込んでいたオリビエは真剣な表情でヒルダに尋ねた。
「……はい。エレボニア帝国宰相、ギリアス・オズボーンと名乗っていらっしゃいます。」
そして謁見の間に新たな客―――どことなく”覇気”を纏い、いくつもの勲章を付けた”質実剛健”を表しているような黒を基調とした服を着た黒髪の男性――エレボニア帝国の宰相、ギリアス・オズボーンがレクターを伴って入って来た。
「――お初にお目にかかります。エレボニア帝国政府代表、ギリアス・オズボーンと申します。このような形での突然の訪問、どうかお許ししていただきたい。」
オズボーン宰相は女王やリウイ達に会釈をして自己紹介をした。
「………あなたが………」
「……………………」
「……なるほど。貴殿がかの”鉄血宰相”か………」
女王とクローゼは驚いた表情で、リウイは真剣な表情で宰相を見ていた。
「そして我が親愛なるオリヴァルト皇子殿下……ご無沙汰しておりました。1年ぶりくらいでありましょうか?」
一方宰相はオリビエに身体を向けて会釈をして尋ねた。
「……ああ、そんな所かな。しかし宰相。どうも話が見えないんだが……なぜ、一国の宰相たる貴方が何の前触れもなくこちらに?しかるべき経緯を聞かせて頂きたいものだな。」
会釈をされたオリビエは頷いた後、真剣な表情で尋ねた。
「これは失礼……実は先日より東部諸州の視察に出向いていたのですが、予想以上に順調に事が進みまして。いささか余裕が出来たのでこちらに参上した次第なのです。」
「それはそれは……」
「本来ならば殿下のようにまさに『異変』の最中にでも駆けつけたかった所ですが……生憎、南部の混乱もひどくその対応に追われまして。ようやく時間が取れたので思い余って参上させて頂きました。前触れなき無礼をお許しあれ。」
「……なるほど、そういう事情なら是非もない。私のことは気にせず、ご挨拶申し上げるといいだろう。」
「ありがとうございます。それでは……」
オリビエの言葉を聞いて頷いた宰相は一歩前に出て、女王達にもう一度会釈をした。
「……改めまして。アリシア女王陛下、ならびにクローディア王太女殿下におかれましてはご機嫌麗しゅう。この度の異変、貴国にとっては大変な試練であったことでしょう。心からのお悔みと……異変が無事終息
したことのお祝いをここに述べさせていただきます。」
「……あ………丁寧なご挨拶、痛み入ります。」
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