外伝〜帝都への帰還〜中篇
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―結果的に、帝国軍の潜在的な示唆・抑止能力はさらに高まることになる………まさに戦争を外交の道具としてコントロールしているわけだね。」
「そんな事情があったなんて………やはりわたくしはまだまだ至りませんね。」
カシウスやミュラー、オリビエの説明を聞いたクローゼは驚いた後、暗い表情になった。
「この場合は、かの宰相殿が尋常ではないと言うべきだろう。その発想は、良し悪しは別にして時代の一歩も二歩も先を行っている。フッ、そんな厄介な相手に挑戦状を叩きつけてしまうとは我ながら無謀もいいところさ。」
「殿下………」
「……………」
「まったく……何を他人事のように。」
疲れた表情で答えた後、いつもの調子に戻ったオリビエをクローゼは苦笑し、リウイは静かにオリビエを見つめ、ミュラーは呆れていた。
「……今はご自分の足場を固めることに専念すべきでしょう。ですが、どうかお気を付けて。ご自分の立ち位置だけは決して見失われないでください。」
「……俺とイリーナの式の際には、各領の領主あるいは領主の代理人として領主の跡継ぎ、もしくは領主の親、そして大多数の貴族達が参加する。……その際に自分の足場固めの足しにするといいだろう。……特にこちらの世界で”聖女”と称され、こちらの世界でのそれぞれの宗教の指導者であるペテレーネと我が娘ティア、そして同じくこちらの世界でも名が知られている皇族のリフィア達と親しくなれば、今後の足場固めの役に立つだろう。」
「……わかりました。これで無様を晒すことになれば、わざわざ”アルセイユ”で帝都まで送っていただく甲斐がないというもの。今のお言葉、肝に銘じておきます。そしてリウイ陛下の助言……ありがたく、受け取らせていただきます。」
女王とリウイの助言をオリビエは頷いて答えたその時
「し、失礼します………!」
ヒルダが慌てた様子で謁見の間に入って来た。
「ヒルダさん……?」
「女官長、いかがしました?貴女がそのように取り乱すのは珍しいですね。」
ヒルダの様子にクローゼは不思議そうな表情をし、女王は尋ねた。
「……失礼しました。今しがた、グランセル城に突然のご来客がございまして。それがシルヴァン陛下達のご来客の件を除いて余りに異例だったのでお話中、失礼かと思ったのですが陛下たちのお耳に入れようかと……」
「異例の来客………」
ヒルダの説明を聞いた女王は真剣な表情で考え込んだ。
「ふむ、そろそろ私はお暇した方が良さそうだ。」
「……リベール王家の客なら、俺もこの場は失礼した方がよいだろう。」
「いえ、それが………その方は陛下だけでなく皇子殿下やリウイ陛下にもご挨拶したいと仰っておりまして。
「何……!?」
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