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Blue Rose
第十話 弱さその十
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「武士道みたいな、な」
「いい教えだからだね」
「祖父ちゃん立派だしな」
「本当に真面目な人だったね」
「大学の教授だったんだよ」
 祖父のかつての職業はというのだ。
「生活も質素で真面目でな」
「浮気もしないって人だったね」
「煙草も吸わなくてな、ただ酒はな」
「そっちはだね」
「祖母ちゃんぼやいてるな、今でも」
 祖父のこのことにはだ、龍馬は苦笑いを浮かべてぼやいた。
「大酒飲みなんだよ」
「あっ、そうなんだ」
「酒だけは止めなくてな」
「かなり飲むんだね」
「そこ俺もだしな」
「お父さんもだよね」
「代々だな」
 酒のことはというのだ。
「どうもな」
「お酒は仕方ないかな」
「それ位はな、けれどな」
「やっぱり尊敬してるよね」
「その祖父ちゃんの教えだから」
 それ故にというのだ。
「俺は約束を守るしな」
「お祖父さんが他に言ったこともだね」
「絶対に守るからな」
「そうするんだね」
「ああ、そうするさ」
「そうだね、龍馬は」
 彼のその一途な目も見てだ、その言葉だけでなく。
 優花は顔を正面に向けて頷いてだ、こう言った。
「そうした人だね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「何か急にだな」
 ここでこう言ったのだった、優花に。
「御前落ち込む様になったな」
「そうだよね、やっぱり」
「何かあったのは間違いないと思うんだがな」
「言っていいかな」
「俺でよかったらな」
 優花のその顔を見て答えた。
「何でも言ってくれ」
「本当にいいんだよね」
「ああ、何でもな」
「そうだよね、龍馬ならね」
「俺達付き合い長いよな」
 龍馬は優花にこうしたことも言った。
「お互いもの心つく前から一緒だったしな」
「十三年かな」
「それ位になるな」
「だからだね」
「付き合いが長いのは理由にならないならな」
 それでどうかということにもなるからだというのだ、付き合いが長いといってもそれだけでしかない場合もあるからだ。
「俺達の付き合いの深さはな」
「家族みたいだからね」
「そうだよ、言うなら従兄弟とかな」
「そんな風だよね」
「ずっと一緒にいてるだろ」
 過去も現在もというのだ。
「そんな間柄だからな」
「何かあれば」
「言えよ、これまでみたいにな」
「そうしていいんだね」
「優子さん程頼りになれないかも知れないけれどな」
 優花にとってたった一人の家族であり血を分けた姉である彼女程ではないにしてもというのだ、だがそれでもと言うのだった。
「俺でよかったらな」
「じゃあ」
「言いたくなったら言えよ」
 微笑んでの言葉だった。
「いいな」
「龍馬がそう言うのならね」
「今すぐでなくてもいいからな」
「そうさせてもらうね」

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