第二十八話 誤解のもとその十一
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「そうよ。天理高校の他にも天理教の学校ってあってね」
「それなんですか」
「他にも看護学校もあるわよ」
「看護士になる学校ですよね」
「そういうこと。天理高校の姉妹校になるわね」
「へえ。色々あるんですね」
「私もあそこ行くかも知れなかったのよ」
ここでこのことを阿波野君に言いました。
「お引き寄せ次第でね」
「けれど天理高校になったんですね」
「それでよかったって思ってるわ」
これは本音です。
「私としてはね」
「僕と会えたことですか?」
「それだけは残念なことだったわ」
またこんなことを言うから。お調子者にも程があります。
「全く。こうして一緒に歩くのも何なのよ」
「ですから。お引き寄せってことで」
「わからないわね。本当に」
「そうですよね。それにしてもあれが学園高校ですか」
阿波野君は学園高校の校舎を見て何かを思っているようでした。
「天理高校とはまた違った雰囲気ですよね」
「やかたにあるとね。そうなるわね」
「やかた?」
「そう、おやかたよ」
阿波野君に説明します。
「おやかたにね。あるから」
「うちの詰所とそっくりですけれど」
「でしょうね。うちの詰所もおやかたにあるから」
「そうだったんですか」
「そうよ。神殿あるわね」
「はい」
まずはここから話をしました。話している間に私達は歩いていって今度は田んぼが左手に見えます。少しずつ先に天理高校の男の子の寮の北寮が見えてきました。
「あそこを囲むようにしてね。やかた造ってるのよ」
「造ってるんですか」
「四方を囲んでね」
このことを話します。
「そうやって造っていってるの。おやかたをね」
「へえ。またどうしてですか?」
「教祖のお話であったのよ」
このことも教えました。
「そういうね。神殿を囲むようにしておやかたができていくってね」
「教典とかにも載ってます?」
「そうよ。色々な本にも書かれてるわよ」
「成程」
これでわかってくれたみたいです。話す方も納得してくれて嬉しいです。やがて道を出て目の前にその北寮がはっきりと見えてきました。
「大きいですねえ」
「北寮のこと?」
「ええ。こんなに大きい建物だったんですか」
その北寮を見ての阿波野君の言葉です。確かにかなり大きいです。
「北寮って」
「そうよ。天理高校って男の子の方が多いしね」
「だからなんですか」
「前もって言っておくけれど東寮はもっと小さいから」
このことを断っておきます。
「形だって違うし」
「何もかも違うんですね」
「そうよ。それでね」
「はい」
阿波野君に対して話を続けます。
「そのお墓地だけれど」
「何処なの?」
「右にあるのよ」
右手を指し示します。私達は信号を待っています。幸い
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