第三百二十九話
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第三百二十九話 博士の新しい実験
博士の今度の実験は何であったかというと。
「またホムンクルスを造ろうと思っておる」
「あれっ、この前造られたんじゃ」
小田切君は博士の言葉を聞いてこう返した。
「確か」
「だからまたじゃ」
「もう一回ですか」
「造りたくなったのじゃ」
「そういうことですね」
「何度造っても面白い」
そのホムンクルスはというのだ。
「他のものもじゃがな」
「最近凝ってますね」
「実はな」
「そうなんですね」
「では造るぞ」
「わかりました」
こうした話をしてだった、博士は小田切君と共に研究室に入った。そこには実験器具が様々な薬品と共にある。
その中に入ってだ、小田切君にまた言った。
「さて、では今からじゃ」
「ホムンクルスを生み出しますか」
「そうする」
「何か博士にとっては」
そのホムンクルスを生み出すこともというのだ。
「簡単というか」
「すぐに出来るというのじゃな」
「そんなものですね」
「何度も造っておるからな」
もっと言えば何百億回とである。
「実に慣れておる」
「何事も経験ですか」
「そういうことじゃ、造り方を知ればな」
「後はですね」
「ひたすら造り続ければな」
「身体で覚えていくんですね」
「頭にも入る」
そうなるというのだ。
「そして絶対に忘れぬのじゃ」
「ホムンクルスの造り方も」
「そうなのじゃよ」
「ううん、凄いことですね」
「わしにとっては全く凄くない」
錬金術の奥義の一つであるがだ。
「全ては頭に完全に入っておる」
「既にですから」
「至ってじゃ」
また言う博士だった。
「出来る、しかし面白いからな」
「今日はそれをされるんですね」
小田切君は博士の言葉に応えた、博士は早速ホムンクルスを生み出しにかかった。それはまるで食事をする様な動きであった。
第三百二十九話 完
2016・4・1
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