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第十話 宮仕えは大変なのです。
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リング元帥、デオドルグ・フォン・ワルターメッツ統帥本部総長とともに、高座から被告人を見下ろした。その周りには軍事高等参事官たちが綺羅星のごとく居並んでいる。
 シャフツベリー中将は顔面蒼白になりながら、被告席に座る。彼にしてみればヴァルハラで大神オーディン直々の取り調べを受けるよりもはるかに恐ろしかったに違いない。

 たかだか一介の中将に対し大げさなと思うかもしれないが、ここのところ大きな戦闘はなかったこと、大きな事件もなかったこともあり、それだけにエル・ファシル星域の敗戦は大きくクローズアップされていたのだ。しかもフェザーンを経由して入ってきた情報によれば、帝国軍を手玉に取った反乱軍側の指揮官はまだ20歳の若造中尉であるという。自由惑星同盟では連日それが大きなニュースとなり、同盟全土で繰り返し放映されているのだ。

 それを知った時、帝国軍上層部は烈火のごとく怒り狂った。完全に帝国の威信をコケにされたのだ。この軍事大法廷が使用されるのは、久方ぶりの事となったが、シャフツベリー中将が帝都オーディンに到着するまでに、疾風の速さで調査が行われ、しかも早々に調書、戦闘詳報が作成されてしまっているというから驚きである。
 この時点で、既に軍事法廷の前審査機関である査問委員会は統一軍事裁判法に基づき、マーロイド・フォン・シャフツベリー中将を有罪としてその罪をならしていた。

「では、エル・ファシル星域における戦闘経過について、報告せよ」

 マインホフ元帥の言葉に、一参事官が立ち上がり、淡々と戦闘詳報を述べていく。その間シャフツベリー中将は蒼白な顔のまま一言もしゃべらなかった。

「すると卿は一介の幼年学校の従卒の言葉をもっておそれおおくも皇帝陛下の艦隊を動かしたのじゃな!?」

 普段はアレーナに激アマなマインホフ元帥も、今日のこの時にはその甘さをミジンコたりとも見せない。雷鳴のごとくとどろいた声にシャフツベリー中将は震え上がる。

「お、お、仰せのとおりでございますが、しかし、かの者の視点は一介の参謀よりも優れていると小官は判断し――」
「その結果、周りの参謀、副官、参謀長にも問うことなく軍を動かしたかッ!?」

 宇宙艦隊司令長官ビリデルリング元帥の叱責が飛ぶ。太い鼻ひげ、顔下半分を覆うひげの一本一本から電気がほとばしっている。一巡航艦の艦長から叩き上げて艦隊司令長官になっただけあってその気性の荒さは軍全体に知れ渡っている。

「じじじ、時期が時期でございました!!うう、うかうかしておれば、エル・ファシルから民間人が、だだ、だ脱出してしまうと――」
「卿は大魚を釣ろうとして、かえって既に釣りあげていた魚をばらまいたのじゃ。二兎を追う者は一兎をも得ずと古来から言うが、まさに卿はその典型じゃったな」

 そう穏やかに
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