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第十話 宮仕えは大変なのです。
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帝国暦479年6月21日
女性士官学校 居室
■ イルーナ・フォン・ヴァンクラフト
アレーナから連絡があったわ。私もアレーナから極低周波端末機をもらっているから、連絡が取りやすくなって大助かりよ。これをフィオーナとティアナにもあげたから、4人での電子戦略会議もできるわね。でもあまり目立たないようにしなくては。
エル・ファシル星域で発生した戦いは、一個艦隊を派遣したものの、帝国軍が敗北。反乱軍リンチ少将を捕縛し、エル・ファシル星域を制圧したものの、1000隻を超える艦艇を失ったとのこと。ヤン・ウェンリーの脱出術を逆手にとって包囲体制を構築したのだけれど、それを裏をかかれて囮艦による爆沈戦法で混乱させられたということ。
流石はヤン・ウェンリー。彼に対しては、所詮原作知識なんて戦術理論の基本戦術程度の効果しかないわ。フィオーナ、ティアナ、覚えておいて。名将は常に流動的な思考をするものよ。私たちも見習わなくては。
ノイエ・サンスーシ
■ カロリーネ・フォン・ゴールデンバウム
派遣艦隊の一部が帰ってきたわ。普通イゼルローン要塞経由するとだいたい一か月以上かかるけれど、軍務省からの呼び出してワープにつぐワープ。大変だったんじゃない?乗っているのは、マーロイド・フォン・シャフツベリー中将、この度軍法会議にかけられることになっているらしいわ。見事に反乱軍の手に引っかかった、それも若い一中尉の策略で、しかも幼年学校の従卒の言葉を聞いて、というのが主な理由みたい。
アルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデンも一緒に乗っているみたい。まぁ、彼の場合にはお父さんが公爵だからそこらへんはうまくもみ消すんじゃない?でもね、一番困るのはシュタインメッツのことよ。あれ、トカゲのしっぽみたいに切り離されることになったら、ちょっと困るのよね。こっちに引き抜けないかしら、侍従武官として。おじいさまに相談してみようっと。
それにしても、ちょっと艦隊の戦術の質が落ちているようね。う〜ん、何とかならないかしら。
ランディール侯爵邸
■ アレーナ・フォン・ランディール
ふ〜〜!!!久しぶりの実家、やっぱり落ち着くわ〜。ちょっと母様の体調が悪くなったので、その見舞いがてら1週間の滞在を許してくれました。こういうところは優しいのね、皇女様。
でもごめんね。こっちはそれを最大限利用させてもらうわ。まずはね、女性士官学校の状況をマインホフおじいさまに聞きます。随行としてメックリンガー少佐にも来てもらいました。少佐とはいえ、もうOVAみたいな芸術家提督の威風全開です。
「生徒の中には耐えられず、やめてしまうものが出ているが、メックリンガーはじめ、教官の指導が上手くての、大部分の生徒は熱心に取り組んでおるよ」
うん、いいんじゃない?
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