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へと減少する。
宙を舞った骨の体が、遠雷によって白く眩く瞬く。その少し下、骨の落下予想地を、新たに発動させた魔法による爆炎が包み込む。膨大な爆発音が轟き、熱風が俺の後方へと吹き抜けて行き、背中に垂れる髪を荒らす。
残り少なかったスカルフマンのHPが残らず消滅し、大地へと仰向けに倒れ伏した。その体が一瞬黒く染まり、大気を震わすような大音量の破砕音が響き、ガラスのように透き通った青いポリゴンの集合体となって爆散した。
「はっ……はあっ、はあっ」
知らず知らずの内に息を止めていたせいで乱れた呼吸を強引に整え、脇の林へと身を潜める。大木の幹を背に崩れるように座り込み、少しの間張り詰めていた精神を落ち着かせる。
倒れ込んだも同然の様子で座り込み、すぐさまメニューウィンドウを開く。薄いクリアブルーの中で、一際濃い青色で示されたデジタル時計は、夜の10時を回った現在の時刻を示している。ついさっきまで西の空を紅く染めていた太陽が、今は何処にも見つからない。代わりに月と星々が地上を申し訳程度に照らし、あたりは闇が支配している。
夕暮れから夜は時間が立つのが早い。暗いせいで無意識に警戒心を張り巡らせているせいか?
答えは出る気配がない。
既に時は12月。寒風が肌を撫で、刺すように冷え込んでいる。
「……帰るか」
短く呟くと、そうそう離れていない第50区の街区《ギルゲート》の明りを目指すべく立ち上がる。久々に朝から夜まで戦闘しっぱなしだった。ここ最近は精神休養のため2,3日ほど長時間戦闘は避けていたのだが、そろそろいいかと思った瞬間コレだ。
この問題は精神科医にでも行かない限り解決するのは不可能だろう、と自分の中で区切りをつけ、遠目に見える柔らかな光を目指して歩き出した。
明日は最前線であるこの50区の外区に攻略には行かずに買い物でもするか、等と考えを巡らせる。
周りにはプレイヤーは一人も見当たらないものの、それには慣れている。夜風に吹かれる中、俺は明かりで満ち溢れたギルゲートの街門を潜った。
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