4部分:第四章
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こんな煽り文句があちこちのサイトやブログで乱舞した。つまり彼等もその主張もそうした類のものだと思われたのである。
ところが彼等は。全くそうは思わないのだった。
「やったな」
「ああ」
打ち合わせの喫茶店で。顔を見合わせてこの前のテレビのことを振り返りついでに打ち合わせをしていた。
「俺達の主張が伝わったぞ」
「皆わかってくれたんだ」
川口も洲崎も互いの顔を見合って熱い言葉を出していた。
「黒衣の男はいる」
「そして俺達を狙っている」
このことは彼等にとって絶対だったのだ。
「しかし俺達は負けない」
「何があろうとも」
次に固い決意を誓い合う。
「UFOの、宇宙人の謎を解き明かすぞ」
「黒衣の男が何だ」
「あんな奴等に俺達の目的を邪魔させはしないぞ」
「例え何をしてこようとも」
なお二人は街の喫茶店のど真ん中で話をしている。店員も客もどん引きしているが当然ながらそんなことは全く目にも耳にも入っていないのであった。
「負けはしないぞ」
「最後に勝つのは俺達だ」
完全に勝ち負けで考えていた。
「今度書く本はだ」
「ああ」
今度は本の話になっていた。二人はUFO研究家でありその収入は印税と自分達のサイトやブログでのアフィリエイトとなっている。とりあえず食べるのには駒ってはいない。
「アメリカに不時着したあれだ」
「リトルグレイだな」
「そう、あれだ」
あまりにも有名な宇宙人である。
「あれの秘密を徹底解剖していこう」
「そうだな。思えばだ」
二人は完全に自分達の世界に入り込んでいた。本当に完全に周りは見えていなかったのであった。誰がいるのかさえ気付いてはいなかった。
「不思議な話だ。あそこに宇宙人が降り立った」
「ああ」
「そこに住んでいた人間はどうなった?」
川口は真顔で洲崎に問う。
「近辺には家があった筈だな」
「どうもあの事件の後口封じをされたうえで強制的に移住させられたらしいな」
洲崎はこう答えた。
「どうやらな」
「移住か」
「そういうことになっている」
こう言ってしまえば何とでも解釈できるのであった。言葉は実に使い方によって様々な解釈ができる。
「しかしだ。彼等がそうなっても」
「わかっている。俺達は別だ」
川口は洲崎の言葉に固い決意で頷くだけだった。
「何があろうとも俺達は敗れはしない」
「決して。そうだな!」
「ああ、莫逆の友よ!」
「何処までも戦うのだ!」
またしても決意を確かめ合う。二人の周りにいる客達も店員さん達も皆唖然とするだけだ。その彼等は気付いていなかった。そこにその黒衣の男はいないということを。果たして黒衣の男が何者か、二人に対してどう思っているのか、そして本当にいるのかどうかは誰にもわからない。
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