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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
第10話
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…リザイラさんがですか?」
「どういうことだ、セリーヌ?」
セリーヌの言葉を聞いたセレーネは目を丸くし、リィンは不思議そうな表情で尋ねた。
「霊脈―――”七耀脈”はこのゼムリア大陸の”生命力”―――つまりは”自然の力”よ。ここまで言えばわかるでしょう?」
「あ…………」
「リザイラさんは精霊達を統べる存在ですから、精霊―――自然の力を直接借りる事ができますものね……」
「なるほどな……―――で、問題は肝心の本人が力を貸してくれるかだが……」
セリーヌの説明を聞いたリィンとセレーネは目を丸くし、トヴァルは納得した後リィンに視線を向けた。
「みだりに自然の”理”に触れる事はできればしたくないのですがね……」
その時リザイラがリィンの傍に現れて真剣な表情でヴァリマールを見つめた。
「リザイラ……ヴァリマールの力を回復する事は可能なのか?」
「可能か不可能かを聞かれたら可能です。この地にいる精霊達にその人形に力を分け与えるように私が指示をすれば、その人形は失った力を取り戻すでしょう。」
「………………………………」
「ちょっと、何でそこで黙るのよ?アンタが頼めば、聞いてくれるんじゃないの?」
リザイラの答えを聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるリィンの様子を見たセリーヌは不思議そうな表情で指摘した。
「俺達とリザイラが最初に出会った時……リザイラは俺達人間によって自然や精霊達が脅かされ続けている問題があるから、人間達に戦争を仕掛けるって話した後俺達を”試して”、”試練”に合格した俺達に人間達と自然や精霊達が共存する未来を託すって言ってたよな?なのに、俺達”人間”の都合の為だけに自然や精霊達の力を借りるのは間違っているような気がするんだ…………」
「お兄様……」
「そんな経緯があったのか…………」
「………エマからもその話は聞いているわ。―――悪かったわね。確かに貴女の言う通り、みだりに自然の”理”を捻じ曲げる訳にはいかないわね。自然や精霊達の力を借りて”魔法”を扱っているのに余りにもずうずうしい意見ね。」
リィンの説明を聞いたセレーネは静かな表情で驚きの表情をしているトヴァルと共にリィンを見つめ、目を伏せて考え込んでいたセリーヌは自分の非を認めてリザイラを見つめた。
「ふふふ、真っ先に自らの目的の為に自然や精霊達を利用したくないという考えをするとは……―――さすが私が”主”と認めた方ですね。―――いいでしょう。私が満足する答えを口にしたご主人様に免じて、その人形の力の回復に協力しましょう。」
「え…………」
リザイラの言葉にリィンが呆けたその時、リザイラは持っていた笛を口に当てて吹き始めた。
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