1部分:第一章
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人もっておい」
「隣の町の大学生の人が消えたらしい」
「何っ!?」
隣の町といういい具合に身近な場所の話なので洲崎も注目したのだった。
「それは本当か!?」
「本当らしいぞ。三日前にな」
「三日前に・・・・・・」
「アパートの周りにその黒衣の男が何人か出て来て」
「消えたか」
「いきなり消えたらしい」
強張った顔で洲崎に語る川口だった。
「いきなりな。煙みたいにな」
「マジかよ」
「実際に黒衣の男を見た人がいるんだ」
話がさらに信憑性を帯びたものになる。少なくとも彼等の間ではそうなってきていた。
「何人もな」
「何人も・・・・・・」
「だから洲崎」
真剣そのものの顔で洲崎に対して言う。
「気をつけろ」
「俺もか」
「当然俺もだ」
川口の顔は強張る一方であった。
「何時何処で奴等に何をされるかわからないぞ」
「下手したらさらわれてか」
「アメリカ軍に洗脳されるかも知れない」
「洗脳・・・・・・」
「下手に殺してもまずいだろう?」
何故かこの言葉は妙な現実味があった。と二人には考えられたのだった。二人で話し込んでいると自然にこうなってしまっていくのだろうか。
「俺達みたいな人間でも」
「けれど事故に見せかけることもできるよな」
「それもあるか」
「あるだろ、普通に」
今度は洲崎が川口に対して語るのだった。
「そうしたことも。事故だったらわからないしな」
「どっちにしても気をつけないといけないのか」
「そうみたいだな。じゃあやっぱり」
「とにかく気をつけよう」
「ああ」
お互いの顔を見て頷き合う。二人は本当に真剣そのものだった。
「街を歩く時でも学校でもな」
「家にいる時でもな」
こうして二人は常に周囲を警戒するようになった。登下校の時は勿論家にいる時も学校にいる時もだ。常に周囲を警戒し緊張した顔になっていた。
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