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浮気の後のラーメン
3部分:第三章
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第三章

 それから数日後。小百合は夫の帰りを自宅で待っていた。やはり帰りは遅い。彼女はキッチンのテーブルに座って彼を待っている。何故かエプロン姿でなく奇麗なスーツを着ている。鮮やかな青のそれはスカート丈も短く彼女の脚線美をはっきりと見せていた。結婚しているようには見えない奇麗なスタイルだった。しかも髪も整えて化粧までしている。まるで今から外出、いやデートに行くようであった。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「いやあ、残業でね」
 いつもこう言うのだ。真相がわかればこれ程白々しい嘘はない。だがどうしても言うのはやはり後ろめたいからなのだろう。例え相手が女でなくとも。
「大変だったよ。くたくた」
「お料理できていないわよ」
「そうかって・・・・・・えっ!?」
 できていないと言われて驚いて声をあげる。
「じゃあ今晩はどうすれば」
「さあ。インスタントラーメンでも作れば?」
 小百合はにこりと笑って夫に言うのだった。
「私今から用事あるし」
「用事って。そういえば御前」
 恒久はここでようやく妻の今の姿に気付いた。
「何だよその格好。何処に行くんだよ」
「デートに」
 小百合はまたしてもにこりと笑って夫に告げた。
「今から行くのよ」
「行くっておい」
「何か悪い?」
 咎めようとする恒久に対して平然とした顔で言い返した。
「相手は何処にいるんだ。そもそもな」
「ねえ」
 ここで小百合は扉の方に顔を向けて誰かに声をかけた。
「用意はできた?」
「はい」
「はいっておい」
 今の返事は女の声だった。恒久はその声を聞いて妙な感じを抱いた。それと共に何か勘に来るものがあった。おそらくそれは彼だけが感じるものであろうが。
「そちらに来ていいですか?」
「ええ、いいわよ」
「わかりました。それじゃあ」
 小百合に言われて部屋に入って来たのは奇麗な女の子だった。黒い髪と瞳が清純ですらある。白いワンピースのミニに身を包んでいる。
「あら、いいじゃない」
 小百合は彼女のワンピースを見て目を細めさせた。
「似合ってるわよ」
「有り難うございます」
「どうかしら、あなた」
 小百合は恒久に顔を向けて彼に問うた。その顔はやけに嬉しそうな笑みを浮かべている。それが誰に向けられたものかはもう言うまでもなかった。
「似合ってるでしょ、その娘」
「ああ、よくな」
 恒久は妻の言葉に応えた。応えると共に全てを察したのだった。
「そういうことだったんだな」
「わかったのね」
「今な」
 顔が苦笑いになっていた。これでは文句のつけようがない。
「これで貸し借りなしね」
「まさかそう来るとはな」
「目には目よ」
 小百合は笑って述べる。
「そういうこと。いいわね」
「いいさ」
 こう答えるし
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