第121話
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「………え……………」
しかし不敵に笑いながら言ったヴァルターの言葉に呆けた声を出した。
「ジジイは俺に言ったのさ。活人、殺人の理念に関係なく……素質も才能も……てめえの方が俺よりも上だとな。」
「なっ……!?」
「そしてジジイは、より才能のある方に『泰斗流』を継がせるつもりでいた。……それが何を意味するのか鈍いてめぇにも分かるだろうが?」
「だ、だが……。俺があんたよりも格上なんてそんなの冗談もいいところだろう!?それに師父が、キリカの気持ちを無視してそんなことをするはずが……」
ヴァルターの話を聞いたジンは信じられない表情で戸惑った。
「……ククク……だからてめぇは目出度いんだよ。流派を継ぐわけでもないのに、師父の娘と一緒になる……。そんなこと……この俺が納得できると思うか?」
「………………………………」
「だから俺は、てめぇとの勝負で継承者を決めるようジジイに要求した。だが、ジジイはこう抜かしやがったのさ。『―――ジンは無意識的にお前に対して遠慮をしている。武術にしても、女にしてもな。お前が今のままでいる限り……あやつの武術は大成せぬだろう』と。」
「…………な………………」
ヴァルターの話をさらに聞いたジンは驚いた!
「クク……俺も青かったから余計に納得できなかったわけだ。そしてジジイは、てめぇの代わりに俺と死合うことを申し出て……そして俺は―――ジジイに勝った。」
「………………………………」
「ククク……これが俺とジジイが死合った理由だ。お望み通り答えてやったぜ。」
「………………………………。俺はずっと確かめたかった……。師父がなぜ、あんたとの仕合いに立ち合うように言ったのかを……。ようやく……その答えが見えたよ。」
「……なんだと?」
不敵に笑っていたヴァルターだったが、ジンが呟いた言葉を聞き、眉を顰めた。
「ヴァルター……あんたは勘違いをしている。これは俺も、後でキリカに教えてもらったことなんだが……。あの頃、リュウガ師父は重い病にかかっていたそうだ。悪性の腫瘍だったと聞いている。」
「……な……!」
そしてジンの説明を聞いたヴァルターは驚いた。
「だからこそ師父はあんたとの仕合いを申し出た。無論、あんたの武術の姿勢を戒める意味もあっただろうし……未熟な俺に、武術の極みを見せてやるつもりでもあったのだろう。だが、何よりも師父が望んだものは……武術家としての生を一番弟子との戦いの中で全うしたいということだったんだ。」
「………………………………。……クク……なんだそりゃ……。そんな馬鹿な話が…………あるわけねえだろうが……。じゃあ何だ?俺は体よく利用されただけか?そうだとしたら……俺は……」
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