第32話 プチ女子会
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「......」
子供の影は、顔を下に向けて黙ったままだ。
「それだ。じゃあな」
「お前は、何から逃げるぞ」
森に行こうとしたサソリに、子供の影は声を掛けた。
「?」
サソリが要領を得ないまま振り返ると、子供の影はサソリに石を投げた。
即座にキャッチした石には真っ黒な字で【にげろ】と書かれていた。
「!?」
気がつけば、子供の影はいなくなり川の中で三人の大人が向かい合っていた。
片方は、仲間同士らしく赤い髪の男性と黒い髪の女性が白い髪の男性と対峙していた。
サソリを背にして二人は立っていた。
その後ろ姿やシルエットに見覚えがある。
親父?
おふくろ?
サソリがかつて欲しくてたまらなかった両親がまるで我が子のサソリを助けるように敵と向かいあっているように見えた。
写真でしか覚えていないようだが、何度も擦り込ませた感覚が高鳴る。
白い髪の男性が白光する短刀を手に持つと黒髪の女性へと投げ付けた。
「!?」
サソリは、咄嗟に移動して持っていた【にげろ】と書かれた石を投げ付けて短刀を弾き飛ばし、母を助けた。
二人の前にサソリは、移動して白い髪の男に戦いを挑む。
かつてから考えていた事だ。
幼く何も出来なかった子供だったが、今では忍として傀儡師として円熟している今ならば両親を守ることができる。
サソリの身体が本人の気がつかない所で人傀儡へと変わっていた。
「サソリ?」
「その身体は?」
サソリの両親が機械的な声で驚きの声を上げた。
その声に反応してサソリは自分の身体を見た。
「なぜ、人傀儡に」
人間の身体に戻ったはずだったが、独特の軋みや無風に近い生体感覚に若干の懐かしさを覚える。
一番見て欲しくない両親に見られたか
だが、サソリは忍の構えを解かない。
ここで引いて、両親を助けるチャンスを不意にしたくなかった。
「お前は知っているはずぞ」
川の脇に、またしてもおかっぱ頭の子供が立っていた。
「?」
知っている?
何を?
「......お前は、何故人傀儡になれた?」
「!?」
サソリは疑問に思っていなかった。
研究の末にたどり着いた自分だけの理だ。
「傀儡は、お前が生まれる遥か昔から存在していた。しかし、なぜ永遠の命が手に入る人傀儡に誰も手を出さなかったんだ?」
「それは......」
確かに奇妙な話だった。
サソリが生まれる遥か昔、伝説の六道仙人の時代から傀儡の原型はあったらしい。
そして忍術としての傀儡を確立した「モンザエモン」、傀儡部隊を率いていたサソリの祖母「チヨバア」等、後の世に影響を及ぼす程の天才的な傀儡師達は絶えず居たはずだ。
それなのに......
なぜ、オレだけが
他の忍から人傀儡を造り、その忍が
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