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第九話 エル・ファシルの英雄は誕生する・・・のです???
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変更すると、太陽風の吹き荒れる地点へと向かった。この時のために、偵察艦隊を派遣して太陽風の性質、風向きなどを徹底調査させている。抜かりはない。
だが、1時間待っても、ヤンの船団が出てくる気配はない。おかしい。どういうことだ?いらだった俺が、足を踏みかえる。だが、それ以上にイライラしているのは司令官だった。まずい、これでは成功するどころか、逆にこちらが叱責される。俺が不安に思いだしたその時だ。ついに待ちに待った声が飛び込んできた。
「閣下!未確認船団接近中!識別信号の呼びかけに応答なし!全速航行で来ます!艦影モニタリングします!」
映し出されたのは明らかに非武装の民間船である。俺はほっとした。よし、これならいける。
司令官もそう思ったらしく、すぐに号令をかけた。
「ただちに進路をふさぐようにして展開!!あの船団を止めろ!!」
2000隻ほどの艦艇が動き出し、民間船に向けて停止指令を発する。他の船は退路を断つべく包囲体制だ。
やった。これでヤン・ウェンリーが英雄として浮上することはない。俺の特進もあるかもしれない。声に応じて停止した民間船に帝国軍の駆逐艦たちが近づいていく。拿捕するためにだ。
その時だった。近づいた駆逐艦が接舷しようとした刹那、大爆発が起こった。それも一か所ではなく、何か所、何十か所からだ!!!どういうことだ!!!!
「どうした!?」
「爆発です!!民間船が爆発を!!」
「どういうことだ?とにかく、後退だ、後退させろ!!」
参謀たちが必死に叫ぶが、いったん殺到した艦隊を戻させるのは至難の業だ。しかもそれが混乱の極みに達している今は特に。
「これは!?まさか!?」
シュタインメッツが叫んでいる。
「どういうことだ?シュタインメッツ」
「アルフレート様。あれは囮です!!民間船を爆装させ、我々が近づいたときに一斉に爆沈させて、混乱にたたき沈めるつもりだったのです!!」
「なに!?」
バカな、バカな、バカな!?どうしてこうなるのだ?!こんなことは原作にはなかった!!ヤンは悠々と太陽風に乗って逃亡をする。隕石群に仮装して。それを押さえつけるだけで済むんじゃなかったのか!!どういうことだ?!
俺が唖然として声が出ない間にも、味方の混乱は広がっていく。すさまじいものだった。民間船の爆発に巻き込まれるもの。それをさけようと回頭し、後続の艦に衝突して爆沈するもの、いたるところで同じような惨劇が起こっていた。
「・・・・・・」
司令官自身も唖然としている。まずい、これはまずい。いくら司令官が命令を下したと言っても、実際に献策したのは俺だからだ。俺が、彼らを殺した・・・・。
そう思うと、急に吐き気がこみ上げてきた。顔からざあっと血の気が引いていくの
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