暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜風雪の忍と光の戦士〜
第四話 決闘者 ―デュエリスト―
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界に足を踏み入れるきっかけとなった人物の片割れ。幾度も話に聞いた、“美しく力強い戦い”で紗那を魅せた少女なのだろう。

「それにしても、こんな子がねぇ……やっぱりゲームは子供のほうがうまいのかな」

「そうかも。すごく上手に炎を操るんだよ。すごく力強くて、でも綺麗で……」

 例の動画を思い出してはにかむ紗那。しかし、その表情はすぐに曇ってしまった。……そう、もう一人は……

「でも、あの動画で見たもう一人の方が……なかなか見つからなくて」

「前に言ってたよな。漆黒のバリアジャケットを着た二刀流の少年、だっけ?」

「……そう。随分探してるんだけど……」

 と、しょんぼりした紗那。かつて彼女はある動画でブレイブデュエルを知った。そこに映っていた一組の少年と少女。そのうちの一人は先ほども話題に出た、シュテルという少女。しかし、もう一人の少年の方は……いくら探しても、見つからないらしい。

「デュエルの記録はよく見てるんだろ? なのに見つけられないって……何でなんだろうな」

「わからない。……後で聞いたらあの映像はグランツ研究所でのバトルだったそうだから、そこを重点的に探してて……あれだけのデュエリストなら、シュテルさんみたいにショップ代表として活動してると思ったんだけど……」

「……よっぽどその少年のこと気に入ってるんだな。憧れてる、っていうか」

「うん。……彼の戦い、本当にカッコよかったから。それに……初めてだったんだ。新しい何かを始めようと思うほど、誰かに影響を受けた、っていうことも……」

「そっか」

 紗那には珍しくすぐに頷くほどに、その黒き剣士への憧れは強いらしい。今でも目を瞑れば明確に思い出せる、あの壮絶な戦い。あの炎使いの少女と二刀流の少年がこの世界を、この空を教えてくれた。ブレイブデュエルと出会わせてくれた。そういう意味では、ある意味……恩義と感謝を感じている、とも言えるのかもしれないが。

「……でも、私は疾風にも感謝してるんだよ?」

「……へ? 俺?」

 突然の紗那の言葉に、疾風はきょとんとした顔を見せる。頷いた紗那は、思い出すようにしながら先を続ける。

「……自分の好きなものを無条件に認めて、共感して……しかも、一緒に行動までしてくれる。私にとって、これほど嬉しいことはないんだよ?」

 紗那自身は、社交的な方ではない。無論、だから友達がいないという訳ではないのだが……自分の好きなことについて、好き勝手話せる間柄の人間が少なかったことも事実。加えて、普段の自分とはギャップがありすぎるような内容だ。己の中に抱えた熱量を、中々誰かに伝えることができなかったのだろう。

 だが親しくなった疾風は、勇気を出して話してみた話題にも引くことなく、いつも通りに
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