第1話Bパート
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Fountainpen Spear!!』
棒は見てくれはただの大きな万年筆にしか見えなかった。
「デバイスをベルト横のポケットに入れて応戦して」
門司はデバイスをしまい、槍を手に取り、怪物に突き刺す。
「どうだ!?」
それまで静かだった怪物がうめき声を上げる。
口は見当たらないが、完全に喋れないわけではないようである。
「このっ……このっ……」
相手が怯んでいるのをいいことに、門司はひたすらに槍を突き刺し続ける。
「なんか、あなたの闘い方はぎこちないわね」
「そんなこと言われても、こんなことやったことないから仕方ないでしょう!?」
門司がツッコミを入れた直後、怪物は一際大きく唸った。
「どうしたんだ一体……」
「気をつけて、ここからが本番よ」
怪物の体が小刻みに震えだしたと思うと、2つ3つと分裂し始めた。
「これが、最も警戒すべき能力。その分身は全て実体を持っているわ」
「なっ……既に10体ぐらいまでに増えていますよ!?」
十数体になった怪物が一斉に門司に迫る。
「慌てないで!対策はあるわ!」
「いいから早く教えてください!」
追われる身になると急に相手が速くなったように思えてしまうのは自分の恐れが生み出した錯覚なのだろうか、と思いながら必死で逃げていた門司だったがそのうち囲まれてしまった。
「デバイスの『4』を押して!」
「は、はい!」
門司がデバイスを取り出して液晶を押す。
すると、槍が素早くその形を変えてやがてまた別の形の棒になった。
先ほどの万年筆程ではないが長く、派手な赤を基調とした少しカラフルなものだった。
『MODE4: Fireworks Sabel!!』
「今度は……手持ち花火?」
「さっき火を点けたようにその先にも火を点けるの」
「でも、今はライターとしては使えないんじゃ……」
「よく見て、液晶の裏部分はそのままライターになっているわ」
門司が見直すと確かに蓋の意匠が残っていた。
蓋を開け、そのまま棒の先に火を点けようとした瞬間、怪物が一斉に蔓を伸ばしてきた。
と同時に、ライターを近づけた棒の先から赤い炎が噴き、蔓を塵にした。
「す、すごい」
「どう?これがその剣の真の刃よ」
「これなら……いける!」
囲った状態から距離を詰めてきた怪物たちを門司が花火を持ってはしゃぐ子供のように回転して一気に切り裂くと、怪物たちの体から火が上がり残らず爆散した。
「やった……のか?」
「ご苦労様。……!!」
門司と女が安堵をつこうとしたその時、女の顔に緊張が戻った。
「どうしました?」
「まずいわ……あれを見て」
一体だけ、離れたところに色の薄い怪物の分身が残っていた。
自分が生き残ったことに気づかれたせいか、背を向けいそいそと
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