プロローグ
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スタイルは少し胸部の厚みがいささか足りない気がするが、スラリとしたウェストとヒップと足は、女性らしさを感じる。 落ち着いた声色で少しウェーブしたセミロングの髪。 顔のパーツも整っているが、少しばかり論理的な物言いが彼女を人気から遠ざけている。 無論俺も少し苦手である。
「一(にのまえ)先生。 俺は至って普通の高校生ですよ」
その言葉にやれやれと首を振り、ジト目でこちらを見た。 彼女はやはり美しい。 夕陽が余計に神々しさを増させる。
「君は一高校生が、そんな哲学や思想が混ざり合った物を読むと思うかね。 私が君の年頃は、ライトノベルや純文学も読んでいたが、そのような哲学を語るようなものを読んだ事はないよ。 精々推理小説位のものだよ」
「それはーー図書室で目をつぶって適当に本を持って面白そうとか言ってる人の言葉じゃないと思います」
実際この人は雑食で、何でも読む。 本当に何でも。 正直四次元がどうとか、アカシックレコードがどうとか、ヒトラー生存とかどうでもいいと思う。 第一、ヒトラーは生存してても今頃老衰でお亡くなりになっているはずだ。
と、ずれた思考をしている時、彼女は自分の胸を持ち上げるかのように(持ち上げるようなものはないが) 腕を組んだ。 そしてこちらを見つめ、口を開く。
「その境地に入ったのは大学に在学中の時だ」
「まぁ、俺は触発されて今現在やってますがね」
そう、俺は彼女のその姿が本当に楽しそうだったので、自分も真似をしてみているだけだった。
その結果がこの本である。
「まぁアレだ。 悪くはないだろう? 本との出会いも一期一会だと私は思っている」
「普段は論理的な物言いなのに、随分とロマンチストなんですね」
「君は私を何だと思っているんだね」
「無論、先生ですが?」
「ーーー」
見目が整った顔が少し歪む。 まるで苦虫を噛んだかのようだった。 少しばかりやりすぎたかもしれない。
「まぁ先生、このような偽善的な発言の多い書のことは置いといて、何かご用ですか?」
「むっ? 何故そう思う」
「先生は効率を重視するお方ですから、不要な会話を好まないと思っていましたが?」
「だから、お前は私を何だとーーーいや、言わなくていい。 確かに私は不要な会話を好まないが、別にコミニケーション自体を好まないわけではない。 コミニケーションを取らないというのは逆に効率が悪いからな」
成る程。 後々面倒な事になるからな。 というか??????そういう考え方もできる人だったんだな。 てっきり不器用一辺倒の人だと思っていた。
「お前今、不名誉なことを考えていただろう。 まぁよく言われる事だと思うが、私はお前が思っている程堅物で難物ではない」
「ーーーダウ、いえ嘘です。 済みません
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