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ソードアートオンライン フィストイズサムバディ
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「...そろそろいいかな」

ログアウトしてから10分。仮想酔い、もといVR酔いと言われるものを序盤から、ログインして2分もたたないうちに体験してしまった俺は一種の恐怖が生まれていた。世間一般でVR酔いは何度もログインしていれば治る、つまりは慣れだよ慣れというやつが多いが個人差があると思う。
少なくとも俺が感じたVR酔いとは車で酔った時の7割増でツラく耐え難いものだった。まるで脂っこい食事を食べ放題だからといって片っ端から胃袋に詰め込んだ結果胸焼けがして吐き気を催す以上に。
初めてのVRMMO体験に多少なりともワクワクしていた俺はVR酔いという大ボスに最初から立ち向かわなくてはならないチュートリアルを課せられた。しかも、攻略後の経験値と報酬金は無しときた。

「2回目で慣れるといいんだけど...」

普通にVRMMOを始める気持ちでいたら俺はまっさきに他の理由をこじつけて諦めるだろう。だがしかし、事情により現実では存在として居づらくなってしまい、都合良く友人に誘われたこのVRMMO「ソードアートオンライン」通称、SAOの波に乗っかることに決めたのだ。
するとベッドの脇に置いてある液晶端末が光出す。メッセージが届いており、差出人はリア・アルペ・トラゴとある。書かれている内容は、「そろそろ酔いが冷めましたか?冷めているようでしたら早くログインしてください。」とのことだった。
俺は小さく苦笑する。
幼馴染で純粋な英国人のリア・アルペ・トラゴは俺の同級生だ。イギリスからの留学生だった彼女はもう8年も日本に滞在している。だったというのも彼女と一緒に滞在していた両親が日本の風土を気に入ったようで俺たちが小学生のころ日本の永住権を獲得したと彼女から嬉しそうに話していたのを聞いた。彼女は日本のゲームが大のお気に入りで昔から超のつくほどゲームっ子だった。そんな彼女の影響で俺もちょくちょくゲームで遊ぶようになり、今では彼女のゲーム仲間として肩をならべている。
日本生まれ日本育ちの俺がまさかイギリス人から日本のゲームの魅力を教わるなんてちょっとしたカルチャーショックだ。
少し皮肉めいた冗談にまた苦笑する。メッセージの最後におろおろとした表情の猫のイラストが送られてきて彼女も今こんな表情をしているのだろうかと思うと少し笑ってしまう。彼女は別にこんな可愛らしい行動を滅多に見せてくれることはないからだ。
いつも真面目な態度、ゲーム内でも変わらず面白がっているというよりかは真剣に取り組み何かを達成するということを楽しんでいる感じだ。まるで趣味と実益を兼ねた仕事のようだった。
そんな彼女が楽しみにしていたものをこれ以上俺のせいで待たせるわけにはいかない。俺はベッドの脇にあるヘルメットにバイザーをつけたような、ナーブギアと呼
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