第五十二話 井上大佐!バイオリン重いぞ!!その十六
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「今日も素敵だわ」
「悠木大将のバイオリンも」
「優美にして繊細」
「まさにこれが真のバイオリン」
「芸術の前には全てがひれ伏すというけれど」
「その通りね」
こう言うのだった、しかし。
主役二人の演奏にはだ、忌々しげに言った。
「上手いわね」
「残念なことに」
「下手にだったらそれで終わりなのに」
「万能のチートスーツは忌々しいわね」
「本当にね」
「うっせえ、いい音楽なら素直に褒めろ」
「そうしろよ」
演奏を終わった二人はむっとした声で少女達に言った。
「バイオリンよかったろ」
「いいならいいって言えよ」
「あんた達に限っては言わないわよ」
「そんなことはね」
絶対にとだ、少女達は二人に言い返す。
「音楽はその人間性が出るっていうけれど」
「それが出ないからよ」
「腐った奴の音楽は腐ってる」
「何でその法則が通じないのよ」
「そんな法則あるかよ」
「それは嘘なんだよ」
音楽はその奏でる者の人格が出ることはというのだ。
「ベートーベン見ろベートーベン」
「あとワーグナーな」
彼等はというと。
「ベートーベン癇癪持ちで尊大で気難しくて頑迷だったぞ」
「ワーグナー浪費家で図々しくて女好きで尊大だったぞ」
何故か二人共尊大という要素が入っている。
「特にワーグナーなんか恩人の奥さんに手を出したことあるぞ」
「しかもその後弟子の奥さん奪って三人も子供作ってるぞ」
「それでも二人共音楽いいぞ」
「人間性はあまりにもだったけれどな」
だから二人共生前は敵に囲まれていた、ベートーベンの代表的な敵はゲーテでありワーグナーはニーチェだった、勿論他にも大勢いた。
「クレンペラーなんか毒舌家でセクハラ大魔王だっただろうが」
「リアルで今だと訴えられるレベルだったんだぞ」
クレンペラーの場合はだ。
「ガチで女の子襲おうとしてここは娼館じゃないって言われてたんだぞ」
「人妻に手を出して旦那に殴られたことあるんだぞ」
「その人間性なんてナチスがそのまま反ユダヤ宣伝に使えるレベルだったぞ」
「使われなかったみたいだけれどな」
そのナチスにはだ。
「ジョージ=セルも有名だぞ」
「あんまりな人間性でな」
「音楽に人間性なんて出るか」
「トンデモ人物の宝庫だろうが」
「モーツァルトは性格破綻者でも無邪気で愛嬌あったみたいだけれどな」
「こうした人達は違うからな」
二人はこう力説していく。
「画家も小説家もそうだろ」
「夏目漱石見ろ!」
「ヒス持ちで被害妄想だったぞ!」
「しかもおっちょこちょいだった!」
写真を見ると重厚なイメージだがだ。
「森鴎外なんかもっとひでえぞ!」
「帝国陸軍の脚気このおっさんのせいで中々収まらなかったんだぞ!」
「
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