四十六話:終末の訪れ
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をつけ囲いを作ったのだ。その囲いはキャロ一人ならば抜け出せるが巨大化したフリードでは隙間は小さすぎる。
「協力感謝します、ウェンディ姉様」
「きゃああッ!!」
どうすればいいのかと思わず完全に停止してしまうキャロとフリード。時間にして3秒程度。しかし、それだけの時間停止していれば狙ってくださいと言っているのと何ら変わらない。器用に魔力弾の隙間を潜り抜けてきたディードの振り下ろすような斬撃をフリードはもろに喰らってしまう。落下と同時にウェンディの魔力弾が襲い掛かり追い打ちをかける。
「今ので決まったスかね?」
「……いえ、敵性反応は依然として存在しています」
「まじっスか。今のは結構上手くいったと思ったんスけどねー」
「関係ねえ、何度でもぶっ潰す」
それぞれの渾身の一撃を入れたにも関わらずまだフォワードがやられていないことに若干驚くウェンディ。だが、ノーヴェの言うように、また倒せば良いだろうと判断し再び笑みを浮かべて武装を構える。
その反対側では攻撃を受けた三人が息を潜めて静かに回復を行っていた。全員が軽くはないダメージを負ったもののこの程度で動けなくなるような軟弱者は一人もいない。諦めることなどなく虎視眈々と反撃の機会を狙っていた。
(こちらティアナ。二人共生きてるわよね?)
(こちらエリオ。まだまだ戦えます)
(こちらキャロ。フリードもいけます!)
(オッケー、さっきは不意を突かれたけど敵が四人だと分かればやりようはあるわ)
全身に走る痛みを押し隠しながら三人は連絡を取り合う。先程は突如現れた四人目に不覚を取って負けたが、居ると分かれば作戦はいくらでも立てられる。まだ戦況は決まっていない。自分達は倒れてなどいない。ならば逆転することは不可能ではない。そう、思った時であった。
「……来て。地雷王、ガリュー」
地面に現れる無数の不規則な魔法陣。それは召喚魔法陣。ルーテシアが操る虫達がその姿を現そうとしていることに他ならない。見上げるほどの巨体の虫達がフォワード陣を取り囲むように数えるのを諦めてしまうほどに現れる。
「この数……尋常じゃない…!」
「私の魔力量全部使ってもこの半分ぐらいが限界なのに……」
驚愕するエリオとキャロをよそに虫達を従える幼き召喚士ルーテシアが地に降り立つ。そしてガリューも続くように彼女の隣に現れる。先程まで均衡していた数と戦力はこれで一気に戦闘機人側に傾いた。遂に彼女達は切り札を切ったのである。突如として何倍にも増えた敵に先程まであったフォワード陣の余裕と計算は脆くも崩れ去ってしまった。
「これは…ちょっと……やばいかも」
額に走る冷たい汗を拭いながらティアナは引きつった声で呟くのだった。
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