6部分:第六章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
第六章
「ですから誰もです」
「止めないのねすね」
「その通りです。日本人の中では神は」
「神は?」
「確かに存在しています」
キリスト教の神は、という意味である。
「しかし仏も存在しています」
「仏もですか」
「そして神々もです」
神道についてはこう表現したのであった。
「神々も同時に存在しているのです」
「神も仏も神々もですか」
「全て中に存在しています」
全てだという。存在していると語るのである。
「日本人の中にです」
「そうした存在は一つではないのですか」
「そうなのです。それはおわかりになられませんか」
「少しばかり、いえ」
今度は自分の言葉を訂正することになった。
「かなりというか全くです」
「おわかりになられませんね」
「だからキリスト教の祝いも仏教の行動もですか」
「そして神社にお参りにです」
この三つが並存しているのだというのである。
「他にも多くの宗教がこの国には存在していますよ」
「それだけではなくですか」
「他にもあります」
さらに話すパヴァロッティ神父だった。
「それが日本人なのです」
「神社の中で主の教えが説かれる」
またその彼等の方を見て言うゴンザレス神父だった。
「それが日本なのですか」
「面白いと思われますか?」
「わかりません」
まずはこう言うしかない彼だった。
「ですが」
「ですが?」
「どうやら私はかなり頑固だったようです」
自分を振り返っての言葉になっていた。
「ただ主と他の存在の対立ではなかったのですね」
「ははは、実は私もですね」
「パヴァロッティ神父もですか」
「はい、私も最初はそうでした」
こう自分のことも語るのだった。
「こんなおかしなことはないと思いました」
「左様でしたか」
「ですが今は違います」
「こうしたものを見てですか」
「彼等の中には多くの教えが共に存在しています」
そうだというのだる。
「それが日本なのです」
「そうなのですか。それでは」
「おわかりになられましたね」
「ええ、今度はですが」
言葉を前置きする。そのうえでの言葉だった。
「少しだけですが」
「左様ですか」
「面白いですね」
ゴンザレス神父の今の言葉はこうしたものだった。
「そうした考えも」
「どうでしょうか。それで」
パヴァロッティ神父は笑いながらさらに話していく。
「これからですが」
「これから?」
「一緒に神社の中に入りませんか」
こう彼を誘ってきたのである。
「中にです」
「この神社の中にですか」
「これまた面白い場所でして」
見ればその髭だらけの顔を屈託のないものにさせていた。そうしながらの言葉であった。
「色々なものがあります」
「色々なで
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ