近づく運命
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ました。全員、命に別状はなく回復に向かっているということです。警察と消防は、二週間前から連続して起こっているガス漏れ事故と何らかの関係があるとみて調べております。これで新都のガス漏れ事故は5件目で搬送された傷病者は50人以上に上り――――』
口を閉ざしてそのニュースを聴いた。
「……ガス漏れ事故、か。最近の新都は穏やかじゃないみたいだな」
「はい、なんだか少し怖いです」
俺の隣でお姉さん座りをしている澪が不安を口にする。
近くでこんな事件が起きたらそれは気になるのが当然だ。むしろ気にならない方がおかしい。
あまり気にしすぎてしまうのもどうかとは思うが、もし自分や自分の身の回りにいる人が巻き込まれたりしたらと考えると恐怖を感じざるを得ない。
不安がる後輩に大丈夫、なんて無責任な言葉を掛けられるほど俺は楽観主義ではないし、絶対に外に出るな、なんて心配性な言葉も言えない。
「俺たちも気をつけような。しばらくの間、夜の帰りは俺が送るから」
出来るとするならこれくらいのことか。何も特別なことでもない。
夕食を食べた後の澪を送るのは三回に一回くらいの頻度だったんだから。俺に疲れてるから、と気を遣う澪を説き伏せられるのがその割合というだけ。
「いいんですか、先輩。でも、申し訳ないです。先輩だって早く休みたいのに」
「そんなの気にしなくていいんだよ。逆にもし澪に何かあったら確実に不眠症になるぜ、俺」
不眠症どころか拒食症にもなる自信がある。それほどのダメージを受けてしまうのなら時間をかけて送るのなんて屁でもない。
「そう、ですか。じゃあお願いします、先輩っ」
ニコッと心底嬉しそうに笑う澪。こういうところにあざとさを感じてしまわなくもないが、恐らく本人はそんなこと気にしていないのだろう。それがどれだけ俺にダメージを与えているのかも知らずに。
「はいよ。あと、心配なのはこの家か。留守中に何かが起きたりしたら嫌だな」
放火とか泥棒とか、今までそういう類の災厄を呼んだことは一度もないがこんなにバカでかい家ならいつかは絶対狙われることもあるだろう、といつも思っている。
取られていけないものもないが、それでも泥棒に入られるのは当然のことながら嫌だ。
だがもし、強盗が来たとしても家に住む暴れん坊将軍こと綾ねえがぶちのめしてくれるはずだと俺は信じてる。頼んだぜ、綾ねえ。あんたなら包丁持ってる相手でも返り討ちにできるはずだ。
そうなると一番怖いのは火事だな。この家が無くなったらさすがにショックはデカい。物心がついてからずっと住み慣れた家だ。そう思うのも当たり前だろう。
失くしたくない思い出も、ここには沢山あるし。
「ふふふ、心配あ
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