同じようで何かが違う朝
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し、この切り替えの早さはどこで会得したのだろうか。普段の優等生っぷりを見ているとそのギャップに恐ろしさを感じずにはいられない。
毎朝朝早くから世話をしに来てくれたり起こしてくれたりしてくれるのは本当に感謝している。
だが、起こされる前に今日みたいなことをされているのかと思うと寝つけなくなってしまうではないか。もしくは澪が来る時間より前に目覚ましをセットしたくなっちゃう。いや、さすがに自室で今日みたいなことになったらオオカミになる自信しかなくなるぜ。
「ふん。やられっぱなしが嫌ならもっと腕を上げやがれ、ひよっこ」
「はいはい分かりましたよ柔道元日本チャンピオンさま」
ほ、ほめんじゃねえよ。高校ん時の話だろ、と少しほめただけで心底嬉しそうな顔をする綾ねえ。
何時いかなる時も西条綾は最強であらねばならない、なんて言葉を自信満々に公言してさらに家族がやばい系でおじいちゃんが何とか組の頭をやってる、その娘が体育の教師をやっているとはな。うちの高校の人事担当はどの辺が良くてこの人を選んだのか一度訊いてみたいものだ。
上体を起こし、土蔵の壁にぶつけた後頭部をさする。よかった、血とかは出てない。身体だけは丈夫なのは数少ない取り柄だと自負してもいい。小さい頃から綾ねえの新技開発に付き合わされたのも身体が強い理由の一つ。
「西条先生、今日も朝練あるんですか?」
「あるぞ。だからこんなところでいつまでも油売ってる訳にはいかねぇんだよ。おら、早く起きて朝飯作りやがれ」
「……自分で作ればいいじゃん」
「あ? なんか言ったか」
「何も言ってません。だからその用途の分からない竹刀は仕舞って」
もう痛いのは勘弁してくれ。今気づいたけどさっき俺をぶっ飛ばしたのはその竹刀だったのね。あと、武道精神がどうとか説いてる人が生身の人間を容赦なく叩いていいんでしょうか。
痛む節々に鞭を入れながらゆっくり立ち上がりあくびをひとつ。
あーあ、綾ねえさえ来なければ最高の朝になりそうだったのに。
だが、あのまま寝てしまっていたら俺はあの衝撃で目を覚ましていたのかもしれないのか。その点に関しては狸寝入りしていて良かったと心から思う。綾ねえが怖くて不眠症になりかねん。
「さーて、じゃあ気を取り直して朝ごはんを作りに行きますか」
眠気はさっきの暴力でどこかへ吹っ飛んで行った。同時に澪に抱いた欲求もキレイさっぱり蒸発してくれている。朝っぱらからムラムラした状態で学校なんて行けないからな、そこは安心だ。
「はい、今日も美味しい朝ごはんを一緒に作りましょう」
元気にいつものミオちゃんスマイル。それを見れば俺も気持ちよく目が覚めてやってやろうなんて気になる。最高だぜ、澪。でも男の
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