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もう一つ、運命があったなら。
同じようで何かが違う朝
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うほど大きく、背中に汗が伝うのが分かった。


「うん、一回くらいしちゃったって――――」


 頬に手が触れ、段々と顔が近づいてくるのを感じる。それが触れた瞬間、俺はきっと壊れてしまう。

 理性というのはこんな風に消えるものなんだな。そんなのはどうだっていい。この欲望は、もう止まることはない――――。



「早く起きやがれバカ空也ああああ!!!」

「ゴメスッ!!!」

 何かが突然入ってきて何かを俺に叩きつけてきた。

理解できない衝撃を受けて理解できたのはそれだけ。

 訳の分からない言葉とともに俺の身体は吹き飛ばされ、壁にぶち当たり床に落ちる。



「あ、西条先生。おはようございます。今日もいい天気ですね」

「んあ? おお澪か。朝からこんなところで奇遇だな」

「はい、ちょうど先輩を起こしに来たところなんです。先輩ったら今日もここで寝ちゃってたんですよー?」

「なんだと? この野郎、そんなに部屋が要らねえならアタシの物置にでもすんぞコラ」



 床に寝転がり悶絶しながらそんな会話を耳にする。というか澪ちゃん、切り替え早過ぎじゃない? マジでばれてないの? 今の桃色な空気は俺の幻想だったのだろうか。

「〜〜〜っ。……いってぇ」

 仰向けになり完全に、というか強制的に覚醒させられた意識で天井を見上げる。

 コンクリートの床は冷たく、扉から入ってくる空気も肌寒い。

 それもそのはず。ここは外にある土蔵の中で、今の季節は冬真っ盛りなんだから。

 その状況で俺はジャージ姿で布団もかけず寝るという大技を披露していたわけだ。

 澪が言っていた通り、これが初めてではなく度々俺はここを寝床にすることがある。冬になってからはさすがに寒すぎるので止めるように言われていたのだが、無意識のうちにその言いつけを破ってしまい今に至る。


「ったく、よくこんなクソ寒いなかで何時間も寝れるな。あれか、頭だけじゃなくて身体までバカになってんのか? あん?」

「ちげえよ。……あー、もう少しで良い夢が見られそうだったのに」

 大の字に手足を広げて愚痴る。何かの暗喩ではないのは言うまでもない。実際に後輩から朝ちゅんされる現実が訪れる可能性があったのにも拘らずそれをぶち壊されてしまったら愚痴の一つでも言いたくなるだろう。

「先輩、大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫。慣れてるからな、綾ねえの唐突なバイオレンスには」

 寝転がる俺のそばに髪を抑えながらしゃがみ込んでくる澪。さっき俺に何かをしようとしていた人間の顔には見えない。一つ下の後輩なんだけど、たまにこういった積極性をこれでもかと見せつけてくる時がある。先輩、困っちゃう。

 しか
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